研究課題/領域番号 |
26750082
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
岡本 勝 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (30453210)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教育工学 / 拡張現実感 / 化学 / タブレット端末 |
研究実績の概要 |
タブレット端末を用いた化学学習支援環境の開発を実施した。 今年度はまず、タブレット特にスマートフォンのような小型端末で利用可能な学習支援環境の開発および化学実験実施実現可能性を評価した。従来開発してきた技術をもとにARマーカを用いた化学実験環境を構築した。さらに近年急速に技術進展を見せているヘッドマウントディスプレイと組み合わせることで実在性の向上も高めた。スマートフォンを使うことで高校生の大半が持っているインフラを活用でき、低コストで実在性の向上を図れる開発を進めた。さらにAR型化学実験環境を用いて無機化学反応を学ぶ学習を実現可能であることも検証から確認した。また、学習者がひとりでも学習を進められるよう、学習者にとって適切となる学習課題を、学習者の学習履歴と実験内容から確率的に推論する手法も構築し、評価実験から利用可能性を示した。 来年度以降の研究遂行に向けた基礎技術開発も進めてきた。まず、端末間通信を安定して実現するためBluetoothを用いた通信環境を構築し、異なる端末間で同じ仮想環境を共有できることを確認した。また、この技術を安定して用いるため開発環境としてUnityを導入しシステムの全面改修も終了した。さらに、マルチタッチ操作導入のテストも完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題実現のため、小型タブレット端末での化学実験よう仮想環境のプロトタイプシステム開発が完了し、今後必要となる基本技術の導入顕彰も終了しているため、ある程度順調であると考えている。また開発環境での学習可能性評価も一定レベルで完了しており、実現に向け進んでいる。 一方で、マルチタッチ操作については従来検討していた対象物をマルチタッチ型ペンで実施する方法で実在性や使いやすさの向上を図る予定であったが、あらたに導入したヘッドマウントディスプレイ型の学習環境では、想定手法の利用可能範囲がタブレット環境内に制限されるところが学習者の手の届く範囲全てに対応できるため、マーカや対象物を用いた方が当初の目的を達成できることが判明したため、マルチタッチ操作の利用を最終年度で実施予定だった内容の開発に用いることに方針を変更した。変更はあったが当初の目的の実現自体は可能となってきているため順調だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、当初の予定をもとに、端末間通信による学習内容の向上や学習形態の拡張、マルチタッチ機能利用による操作性の向上および実験評価を中心に研究を行っていく予定である。ヘッドマウント型環境への拡張により従来の想定よりも質の高い体験が可能になった反面、実験環境を確認する画面のタッチ操作が難しくなったため、端末間通信とマルチタッチ操作を導入したインタフェースの検討実現がより重要となってきている。現状での制約および必要な操作を再検討整理し、フレームワークの見直しおよびプロトタイプシステムの開発および検証評価を行っていく予定である。 特に初年度に実現し学習効果の評価を実施したインタフェースでは実行が不可能となる実験操作について導入する方針でマルチタッチおよび端末間通信を用いたインタフェース操作環境の実現を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要物品の購入、および出張などの経費を完了した段階で該当料金が残った。研究遂行のための物品購入としては少額であったため次年度での使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度の繰越金については、該当金単体での利用は想定しておらず、次年度金額での物品購入などにおいて想定以上の予算が必要となった場合などの補てんに利用する予定である。
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