研究課題/領域番号 |
26750087
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
脇本 健弘 東京大学, 教養学部, 助教 (40633326)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 教師教育 / メンタリング / ICT活用 / リフレクション |
研究実績の概要 |
2014年度は主に文献調査や、小学校教師を対象にしたタブレット端末附属カメラ機能活用の調査を行った。それぞれについてその詳細を説明する。 文献調査では、タブレット端末附属のカメラ機能をどのように用いればよいのか検討するために、主に日本教育工学会の論文誌、学会発表論文などを対象に、カメラを用いた教育実践に関するものを抽出し、これまで教育実践を高めるためにカメラをどのように用いてきたのか明らかにした。それらをふまえ、タブレット端末附属のカメラ機能は、自身の視点をもとに撮影し、それを振り返ることが教師の成長にとって有効ではないかという仮説を立てた。 次に、小学校教師を対象にしたタブレット端末附属のカメラ機能活用の調査について説明する。上記の仮説を具体的に検証するために、小学校教師を対象に、実際にタブレット端末附属のカメラ機能を活用してもらい、教師が何を撮影し、どのように振り返るのか調査を行った。その結果,若手教師・中堅教師・ベテラン教師は共に,授業中の子ども,そして,黒板の画像を撮影する傾向にあることが明らかになった.その一方で,撮影の重点ポイントは教師によって異なっており,授業中の子どもを中心に撮影するのか,それとも,黒板を中心に撮影するのか,教師によって違いが見られた.また,それらに加えて,教師によって,授業外の子どもの様子やノート・プリント類を撮影するなど,撮影対象に違いが見られた.つまり,授業中の子どもや黒板の撮影など,共通点はあるものの,細部においては,各教師によって実践の振り返り対象が異なることが明らかになった. 今年度得られたデータは初任教師の自律を促す対話型メンタリング支援システムの開発を行うために用いられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は初任教師の自律を促す対話型メンタリング支援システムの開発を行うための文献調査、小学校教師を対象にした調査を行うことができた。また、それら成果を日本教育工学研究会で2件発表も行った。平成27年度は上記で得られたデータをもとにシステムの設計、開発を行う予定で、研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は初任教師の自律を促す対話型メンタリング支援システムの設計・開発・評価を行う予定である。具体的には、これまでの調査で得られたデータをさらに詳細に分析し、システムの機能を設計していく。それら設計をもとに、実際にタブレット端末で動作可能な支援システムの開発を行う。システムの開発後は、システムの検証を行う予定である。具体的には、小学校教師に実際にシステムを利用してもらい、利用の記録の取得やインタビューなどによりシステムの有効性を検討していく予定である。これらを行うことで、本研究のタイトルでもある「初任教師の自律を促す対話型メンタリング支援システムの開発と評価」が達成できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実践で用いる端末を年度末に購入予定であったが、新機種の発売等にあわせるため、購入に時期をずらしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度新たに実践で用いる端末等に費用を当てる予定である。
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