本研究ではケースリードエージェントの開発にするために1)評価を行いやすいマンガケース教材の開発,2)コンジョイント法による学習者の読み取り方の測定とケースリードエージェントへの応用,3)マンガカードソーティングの開発とケースリードエージェントへの応用の検討を行った. マンガケース教材の開発では既存の尺度をベースにすることにより読み取り方を提案する方法以外でも評価できるようにした そして,そのマンガケース教材を使ってコンジョイント法により学習者がケースをどのように読み取っているのかを測ることができることを示した.しかし,その一方でこの方法で測ること自体が学習者に負担を強いるためにその精度には課題を残すこととなった.コンジョイント法により比較的正確に測ることができた範囲で他者のどの様な意見を推薦することがケースリードエージェントの開発に有効であるかを評価した.結果として,読み取り方が近い学習者の意見が新たな視点を与える傾向にあることが分かった.一方で,意見自体の出来の影響も大きいことも明らかになった.そのため,ケースリードエージェントの決定的な運用方法決めることができず長期にわたる運用は検討できなかった. 次策としてマンガケース教材のコマを分類する作業を通して,学習者の読み取り方を明らかにするマンガカードソーティングの開発と評価を行った.ディスカッションにこの方法を用いることで互いの読み取り方が明示化され,議論が進み,自分の意見に対しても考えが深まることが明らかになった.これをケースリードエージェントのコマの提示の仕方に利用すれば,同様に考えが深まるという可能性が示唆されたと考えられるが実装にはさらなる実験を要すると考えられる. 今後はコンジョイント法とマンガカードソーティングのそれぞれで見つかった課題を解決する予定である.
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