本研究の目的は,フィジカルコンピューティングと映像・音を融合したメディア表現教育を対象とした教育支援環境として,「プログラミングの初学者に適したビジュアルプログラミングエディタ」と「安価で扱いが容易なハードウェアキット」を開発し,その教育効果を検証することである.この教育支援環境により,プログラミング初学者を対象としたメディア表現教育を多くの教育機関で実施できる可能性を高め,I/Oモジュールの制御や映像表現などのビジュアライゼーションのプログラミングに必要な学習コストを低減することで,表現やインタラクションに関する本質的なアルゴリズムを構築することに集中して学習を行うことができる.
平成29年度は,昨年度までに開発したビジュアルプログラミングエディタに関する成果の発表を中心として研究を実施した.また,簡易的な評価実験を行うことで,本研究で開発をしたビジュアルプログラミングエディタが,メディア表現教育で学習者が作成する仕組みを作るのに十分な機能を有していることを確認した.さらに,成果発表の場において他の研究者から,今後の拡張性や継続的なメンテナンス性などを考慮する必要性について指摘を受け,この指摘に対する検討を行った.ビジュアルプログラミングエディタの開発には,継続的な開発とメンテナンスが終了しているJava言語のブロックプログラミング用のフレームワークを利用していたが,JavaScript言語を用いた最新のフレームワークを使ったプロトタイプを開発することで,今後の拡張性と継続的な開発に知見を得ることができた.
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