最終年度となる本年度は、以下の3点を中心に研究を進めた。1)国内の所蔵機関における現地調査、2)論文1点の刊行と、ウェブ展示の公開、3)本研究の成果を総括する学会報告二回
1)については、以下の8機関において資料の調査・撮影を実施し、同時に内容分析を進めた。九州大学九州文化史資料部門、東北大学附属図書館、国立公文書館、茨城県立歴史館、九州大学附属図書館、長崎歴史文化博物館、大阪歴史博物館、京都大学附属図書館。 2)については、中国・西洋双方の要素を併せ持つ星図「渾天壱統星象全図」にまつわる共著論文を発表した(宮島・平岡 2016)。また、当初より本研究の課題の1つと位置づけていた、関連漢籍の舶載状況の十全な把握のために、近世日本への漢籍の輸入・検閲業務を一手に担った長崎聖堂にまつわるウェブ展示「長崎聖堂の世界 ver 1.0」(http://www.pu-kumamoto.ac.jp/~hiraokar/seido.html)を制作・公開した。 3)については、「小林謙貞と初期長崎天学派-キリシタンと西川如見のはざまで-」(洋学史学会3月例会)、および「17世紀長崎における西学理解」(第7回日韓科学史セミナー)と題する学会発表を行い、16世紀後半の西洋科学(自然哲学)の日本初伝来から、17世紀長崎を中心とするテクスト継承の実態とその受容のありかたまでを、日欧の一次史料に依拠しつつ、総括した。
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