本研究では、キリシタン時代の日本に初めて伝来した西洋の宇宙論知識の内容と後代への継承・受容にまつわる諸問題の解明に取り組んだ。とくに1)代表的な西洋原典である『天球論』第2部の羅英対訳校訂テクストを完成させ、当時伝来した知識の系譜を明らかにするための文献学的な基盤を確立した。また2)17世紀長崎を中心とする後代への継承・受容のあり方を解明するために、小林謙貞の事跡研究、『南蛮運気論』における西洋説受容の分析、長崎の御用眼鏡師・森氏の系譜研究、等をおこなった。また3)関連漢籍の準備的な所在目録を作成するとともに、ウェブ展示「長崎聖堂の世界 ver. 1.0」を制作・公開した。
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