コンピュータ・シミュレーションが日本国内で始められていった過程を、台風の数値予報と超高層ビルの耐震設計という二つの事例に即して、文献資料に基づき考証した。またこれと並行し、現代の研究者の協力を得て、学術分野間でのシミュレーションの共通点・相違点についても検討するなどした。以上の分析を総合した結果、シミュレーションの歴史研究では、シミュレーションと旧来の手法との連続性、他の研究手法との関係性、基礎となる法則や方程式の地位といった点に注目することが重要であるとの示唆が得られ、「コンピュータ・シミュレーションの科学技術史」という新しい研究領域の課題が明確化された。
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