研究課題/領域番号 |
26750098
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
箱崎 真隆 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (30634414)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 放射性炭素 / 環境動態解析 / 樹木年輪 / 環太平洋 |
研究実績の概要 |
名古屋大学太陽地球環境研究所(現:名古屋大学宇宙地球環境研究所)との協議により、昨年度収集できなかった南日本産試料(ヤクスギ)1点を得ることができた。年輪年代解析により、この試料に西暦1335-1995年の年輪があることを確認した。 また、北日本産試料試料として、北海道根室市春国岱原生林のアカエゾマツ試料を追加で得ることができた。同試料の年輪年代解析は共同調査を実施した東北大学植物園が担当する。各年輪の年代が確定し次第、測定試料を譲り受けることとなった。 北日本産試料として、すでに青森県産ヒノキアスナロ材を得ているが、春国岱はよりオホーツク海に近く、この地域の樹木はオホーツク海高気圧の影響を強く受けてきたと予想される。春国岱試料の分析により、北日本のより局所的な差異の解析が可能となると考えている。 本研究では、得られた年輪幅データと放射性炭素濃度データの公開を予定している。そのため、測定および解析と平行してデータベースの作成を進める必要がある。そこで今年度より、年輪時系列データの年輪年代解析およびデータ管理を円滑に行うことができる専用ソフトウェア「PAST5(SCIEM社製)」を導入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度の前半に、日本で開催された国際会議の準備・運営の中核的メンバーに選任され、その業務にエフォートのほぼ全てを割かざるを得ない状況となった。 また、年度途中で、加速器質量分析計を保有する名古屋大学年代測定総合研究センター(現:名古屋大学宇宙地球環境研究所)から、保有しない国立歴史民俗博物館への異動となった。当初の計画では、多数の試料の放射性炭素濃度測定を自前の加速器質量分析計によって行うとしていたが、この異動によって自前での測定が不可能となった。 また、異動先の基幹研究プロジェクトの実務メンバーとして採用されたことから、プロジェクトの推進に大幅にエフォートを割かざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の後半では、加速器質量分析計をもつ研究機関の研究者が多く参加する学会に参加して、各機関の研究者に協力を要請した。次年度も協議を続け、可能な限りの放射性炭素測定を実施したい。次年度は計画最終年にあたるが、データ獲得状況よってはもう1年延長することも検討している。 なお、新たな所属機関となった国立歴史民俗博物館は加速器質量分析計を保有していないが、放射性炭素測定の試料調整については国内有数の研究拠点である。現在、本研究の試料調整を効率的に進めることができる手法が開発段階にあり、今後の分析を効率的に進めるために、次年度はその手法の修得を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた放射性炭素測定が所属機関の異動等で実施できなくなり、消耗品の購入費が大幅に減少した。また今年度は、国際会議準備運営の中核メンバーに選定されたこと、異動先所属機関の基幹プロジェクトの実務メンバーとして採用されたことで、エフォートに大幅な変更が生じ、計画していたペースでの成果の公表が事実上不可能となった。そのため、旅費が大幅に減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本研究の主体である放射性炭素データの獲得に向けて、加速器質量分析計保有機関での研究協議および実験を行う必要がある。そのため、次年度は当初の計画よりも旅費、消耗品費の支出が増える見通しである。
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