研究課題/領域番号 |
26750100
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川宿田 好見 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (40616166)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | パブリック考古学 / 博物館活動 / 地域活性化 / 離島 / 文化財 / 石垣 / 三次元計測 / 身体技法 |
研究実績の概要 |
本研究では、香川県小豆島と、鹿児島県三島村という背景の異なる離島を対象として、持続可能な博物館活動の適切なあり方のモデルを構築することを目的にしている。28年度は、三島村で実施する活動について協力者との協議を進め、準備を整えることができた。三島村で確認された遺物等の活用を目的とした三次元データ化を積極的に進め、住民とともに実施する活動のコンテンツを的確に用意することができたと考えている。また小豆島でも同様に三次元によるデータ化とともに、地域の情報の収集等の実施も継続して行うことができた。小豆島では大坂城石垣の石材を搬出した歴史があり、それらの痕跡を残す石切丁場の活用も本研究の対象としているが、対象物が大きく、屋外に残されたものであるため、活用という点で困難があった。そこで残石を三次元データにし、3Dプリンタで出力した縮小サイズのレプリカの作成を試みた。その結果、対象物を容易に観察でき、石材の接合関係なども手元で確認できるという成果を得た。さらに持続可能な文化財の記録、保存、活用の担い手として小学生を主な対象としたワークショップを開催した。ワークショップでは作成したレプリカの観察や、研究代表者が実施した石材の三次元記録の手法を体験してもらい、自らが調査活動に参加できることを実感してもらうことができた。また、参加者の参与観察・聞き取り調査等を行い、住民と共同の調査研究活動の方法論についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住民が文化財の調査や記録等に関わるための手法を、本研究の活動や開催したワークショップで確認することができた。それぞれの地域において、文化財や歴史に特性があるため、それらを踏まえた活動の展開が必要となるが、観察や調査などを通じて、実践的な活動により住民の意識が高まることが判明し大きな成果となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で実施してきた活動を、地域住民で継続化させる体制を構築することを目的とする。小豆島において28年度に実施したテストケースとなるワークショップで多くの成果を得ることができたため、三島村でも同様のものを実施し、さらに共通点・相違点のデータを取得することとする。小豆島と三島村のそれぞれの地で住民が自立して質の高い博物館活動実施の方策を、ワークショップ等を通じて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
地域における文化財活用に関する海外調査を予定していたが、身内の不幸により中止せざるを得なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度に予定している実施内容の進捗状況に応じて、28年に予定していた調査を実施する予定である。
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