本研究では,北日本の縄文時代遺跡から出土した石器や土器の付着物に含まれる残存デンプン粒を分析することによって,野生植物食料の加工技術を復元し,当時の植物食の実態を明らかにした。本研究の成果は下記の三つである。
(1)種実などの大型植物遺体と石器や土器の付着物から検出した残存デンプン粒の由来植物との比較により,実際に食資源として加工された植物の種類を推定し,加工対象植物のパターンを提示した。(2)石器や土器の加工対象となった植物のデンプン粒とコンタミネーションのデンプン粒を明確に識別した。(3)土器の内容物など調理時の加熱に伴う壊れ方と石器を用いた加工作業に伴う壊れ方との間の相違を確認できた。
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