平成27年度は主に、塑像模型の振動台実験の実施、個別要素法プログラムであるwallstatを用いて、振動台実験結果の再現に取り組んだ。 塑像模型の振動台実験では、研究代表者らが今まで残存している乾漆造の立体像について実物大模型を製作し振動台実験を行うことでその構造安定性と地震時挙動について明らかにしてきたなか、今回、内部に空洞があり重心が比較的低い乾漆像と比べると、重心が高くなり構造安定性が低いと予想される塑造立像の模型を製作し、振動台実験による評価を実施した。今回は予算の都合もあり、三重大学にある小型一軸振動台を使うこととなったため、実物から40%縮小した模型を製作した。振動実験の結果、現存する塑造立像でも見られた足首部分の亀裂などを再現した。しかし、実物よりも重量が重くなったため、予定よりも早く破壊し、実際の地震動における挙動については今後の課題となった。 また、加振実験結果との比較をスムーズに行うため、個別要素法による数値計算を実施した。個別要素法プログラムは木造住宅倒壊解析ソフトウェアとして開発され、オープンソースでもあるwallstat(国土交通総合研究所)を用い、過去に実施した乾漆造立像の実物大模型および今回の塑像縮小模型の振動台実験の結果の再現に取り組んだ。 計算の結果、以前に実施した乾漆像模型の実験を再現することに成功した。しかし、詳細には最大変形角などで若干の相違がみられるため、数値計算モデルの接合部分の条件変更など、まずは再現にむけた更なる取組が必要である。
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