本研究では、我が国でも希少である塑造立像や乾漆造立像の保存上最大のリスクである地震時転倒に関して予測手法の開発を行った。まずは対象となる塑造立像や乾漆造立像について調査を行い、免震装置など地震対策を行っている事例が少ないこと、塑像でも乾漆像同様踵に応力集中による破壊痕跡があることを確認できた。また、塑像および乾漆像を剛体ではなく複数の部材から成る構造体として考え、部材ごとの強度や揺れ方の違いを反映できる個別要素法を用いてより高精度の地震時応答予測手法の開発を進めた。さらに、乾漆像より胴体が重いとされる塑像について振動台実験により地震時挙動を把握した。
|