中世の文化財建造物の塗装には酸化促進剤が入った油性塗料が使用されている。文化財の修理のためには油性塗料の特徴を知る必要がある。そこで、酸化促進剤の量を変化させて試料を作製した結果、表層と内部で重合乾燥が異なることが分かった。具体的には、表層は添加量が少なくても重合乾燥するが、添加量が0%~1%では塗膜の内部は重合乾燥が進行しないこと、添加量が10%、15%の試料では内部の重合乾燥も早く進むが、塗膜の収縮が顕著になり表層に波模様が発生することが分かった。この結果は実際の油性塗料による施工時に参考になると考えられる。
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