研究期間を1年間延長し、フロアガイドに記載されている語句とピクトグラムの分析結果について、関連機関・関係者と議論を進めた。 前年までの研究調査によって、博物館・美術館410館776フロア、図書館62館126フロア、文書館31フロアにおける記載語彙とピクトグラムのリストが完成した。これらの分析によって、館機能の特徴が記載語句やピクトグラムに反映されていることが判明した。また、JIS z8210に準拠したピクトグラムが標準的につかわれているものの、それだけでは十分ではなく、各館が独自に作成して運用しているピクトグラムも存在していることが明らかになった。そのひとつが、博物館・美術館における「チケット売り場」や図書館における「図書返却ポスト」といったピクトグラムである。これらは特殊な機能・設備であるためJISでの提供は望めないので、作成していると考えられた。もうひとつ、「オムツ交換台」「哺乳瓶(授乳室)」といった幼児向け設備と「AED」「オストメイト」といった近年開発された設備を指し示すピクトグラムが作成されていることが判明した。これら利用頻度高いが、標準的なピクトグラムが存在しないもの関して、図書館キャラクターのデザインを手がけている方と新たにピクトグラムを作成した。作成したピクトグラムもCC BYライセンスで公開し、自由な活用に供することができるようにした。これら研究過程において、生まれてきたデータや研究集会の報告などは本研究を紹介するウェブサイトを通じ発信しており、ウェブサイトは研究終了後も継続運営し広くフロアガイド作成の参照となるように努める。
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