研究課題/領域番号 |
26750112
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
行場 絵里奈 東北大学, 災害科学国際研究所, 特別研究員(PD) (70613735)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 災害情報 / 津波警報 / 地域住民 / 大学生 / 被災地域 / 認識の違い |
研究実績の概要 |
気象庁や種々のメディアから発せられる災害情報による危機意識喚起の様態を認知情報学的観点から分析することを目的とし、人々の警報や情報に対するリスク認識の調査を行った。気象庁では、東北地方太平洋沖地震において災害情報の過小評価が住民の避難の遅れにつながったとして、津波警報の仕様を2013年3月7日に改正し、住民に危機意識を持たせるために、地震の規模が不確定な場合は「直ちに近くの安全な高台に避難」することを強調し、想定される津波の高さが3m超~10m以上だった場合には「巨大」、1m超~3mだった場合には「高い」などの定性的な表現を採用する等の対策が取られてきた。本研究では、東北地方太平洋沖地震の被災地である東北地方の大学に在学する学生と被災地ではない九州地方の大学に在学する学生を対象とし、改訂後の津波警報で採用されている「高い」や「巨大」等の形容詞情報を受けた時に、主観的に想定する津波の高さや警報に対する有効性について調査した。得られた結果から被災経験や地域によって異なる災害情報の認識に応じた防災プログラムの構築や、適切な情報発信方法の重要性を指摘した。また、宮城県の被災地域在住の一般住民を対象として同様の調査を実施し、大学生(東北と九州)を対象とした調査結果と比較した。その結果により津波やそれに関連する災害を身近で体験した方々とそうでない方々の意識の違いを探り、両者の意識のギャップを埋める方法の必要性を指摘した。以上の結果は、被災経験別や在住地区別の災害情報認識をさらに細かく検証したことから、地域別や経験別の防災対策や情報の利活用方法を効果的に改善する研究として大いに貢献したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
災害時における情報の効用性を調査するために、大学生の他、被災地域に居住する一般住民を対象とした調査を行った。以上の結果は国際学会EdMedia 2014や平成26年度自然災害科学中部地区研究集会で発表されている。大学生の災害情報に対する認識調査は、既にJournal of Disaster Research Vol 9, No.4にて論文発表済みである。今後は、一般地域住民を対象とした調査結果も同様に論文で発表する予定であるため、予定通り順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
言語による災害情報(予想される津波の高さを数値で表したものと「巨大」 「高い」等の形容詞で表現したもの)の他、避難を呼びかける音声等やビデオに録画された報道アナウンサー等の映像音声による効果も調査することを考えている。具体的には音声情報や映像等において、災害情報を淡々と伝える場合と切迫感を与える強い口調で避難を呼びかける場合の有効性を明らかにする。以上により、住民の危機感を喚起し的確な行動を起こすための、有効な災害情報の提示方法や避難の呼びかけ方法について検討してきたい。さらに人間の認知特性・行動傾向に基盤をおいた防災教育の構築、および緊急時における不適切な対処方法の修正プログラムを提案し、その有効性について実践・実証的研究も行うことを考えている。対象者は、大学生や大学院生、協力可能な基礎教育課程の児童・生徒や地域住民を対象とする。地域の施設や学校などで実験調査環境の確保が困難な場合には、宮城県内の大学にて、学部生や大学院生を対象に実験を行う。実施前には調査内容を詳細に説明し、対象者やその関係者のインフォームドコンセントを必ず得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、気仙沼市や南三陸町、石巻市などの、所属研究機関から比較的遠方の地域住民の方々を対象に調査を行う予定であり、相応の調査費が必要であったが、「せんだい東部復興市民会議」の自治体の方々のご協力により、仙台市近郊の大規模仮設住宅(あすと長町等)にて、地域住民の方々のデータを多数、得ることができたため、多額の調査費の支出の必要はなくなった。得られた調査データを統計解析するため、SPSS等のデータ分析用ソフトを購入し、分析を続けている。
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次年度使用額の使用計画 |
調査によって得られた結果を国内外での学会や論文で発表するため、その海外・国内出張旅費や、英文校訂料および投稿料に相応した金額を使用する予定である。また、上述のとおり、大量のデータを分析・表示するための統計処理可視化ソフトウェアなどを購入する計画である。
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