研究課題/領域番号 |
26750114
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
高野 祐一 専修大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40602959)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | テスト理論 / 数理最適化 / 機械学習 / 応用数学 / モデル化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ノンパラメトリック推定に基づくテスト理論モデルの欠点を克服し、実用化のレベルまで性能を高めることである。本研究で対象とするノンパラメトリック項目反応理論は、自由度の高い項目特性曲線によって、テストの各設問の特徴(難易度や識別力)を詳細に表現できる。しかし、「過剰適合により推定精度が悪化する」、「推定手法が確立されていない」という問題点があり、実用化には至っていない。本研究では、機械学習と数理最適化の手法を用いてこれらの課題を克服し、数値実験によってノンパラメトリック項目反応理論モデルの有効性を検証する。 平成26年度は、代表的なノンパラメトリック項目反応理論モデルである、単調等質性モデルと二重単調性モデルを混合整数最適化問題として定式化することができた。しかし、これらの最適化モデルは目的関数が非線形の整数最適化問題となり、厳密解を求めることが非常に難しい。そこで、本研究では「項目特性曲線」と「被験者の能力」を交互に推定するアルゴリズムを提案した。 本研究では仮想データを用いた数値実験を実施し、一般的なパラメトリック項目反応理論モデルとの比較を通して、提案手法の有効性を検証した。数値実験の結果、各設問の項目特性曲線の形状によっては、提案手法はパラメトリック項目反応理論モデルの推定精度を大きく上回ることが可能であることを実証した。 関連研究として、回帰式の変数選択問題や、2次元確率表による購買予測問題にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた、過剰適合を制御できるノンパラメトリック項目反応理論モデルの開発は平成26年度中には完了しなかった。一方で、平成27年度以降に実施する予定であった、ノンパラメトリック項目反応理論モデルに対する実用的な推定アルゴリズムの開発と、数値実験によるモデルの性能評価を前倒しで実行できた。以上を考慮すると、当初の予定とは異なるが、達成度はおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はノンパラメトリック項目反応理論モデルの過剰適合を制御するために、正則化(罰則付き最適化)とロバスト最適化の手法を利用したモデルの開発に重点的に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究発表をキャンセルしたことにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
数理最適化・数理統計・機械学習・数値計算の関係図書を購入する予定である。また、研究成果発表のための交通費・宿泊費や、数値実験に必要な数値解析ソフトや最適化ソルバーの保守費用にも使用する。
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