研究課題/領域番号 |
26750120
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
上原 拓郎 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (60384757)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 生態経済モデル / システムダイナミクス / 産業連関表 / 国際研究者交流 / フランス / セーヌ川 |
研究実績の概要 |
本研究は、生態系と経済システムを一つのシステム、生態経済システムとして捉えるモデリング手法の開発を主目的としている。具体的には、生態系についてはシステムダイナミクスを用い、経済システムについては産業連関表を用い、両者を同期させたモデリング手法を、フランス・セーヌ川河口域のヒラメの生息域とそれを取り囲む地域経済を事例としてモデル開発を行う。 2014年度は、第一に生態系ダイナミクスを充実させた。これまでのモデルでは、簡単なダイナミクスの表現にとどめており、セーヌ川河口域のヒラメのダイナミクスの実情には必ずしも適するモデルではなかった。そこで、生態系の専門家への聞き取りなどを基に、河口域の土質の違いに応じて、河口域を21区域に分割し、かつ、コーホートを用いたヒラメの成長ダイナミクスを導入したモデルを作成した。空間と年齢による違いを反映することができるモデルに組み替えたことにより、例えば、生態系保全対象を絞り込んだ場合の影響や、水揚げしてよい年齢を限定した場合の効果等の検証ができるモデルとなっている。 第二に、システムダイナミクスと産業連関表の同期のエラーチェックを実施すると同時に、同期の仕組みを洗練させた。同期の仕組みを洗練させることで、今後、他の事例に適用するための方法論として確立させることを意図している。 今後の計画では、最適化アルゴリズムに注力する予定となっているが、27年度の研究を通して、不確実性の取り扱いに加えて、不確実性の考え方自体も慎重に検討する必要が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では、モデリング手法の確立・セーヌ河口への適用を目標としていたが、加えて、最適化や不確実性の問題に着手をしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
2015年度と2016年度については、これまでに構築したモデルを用いて、最適な生態系保全策を導出するための最適化手法の検討を主に実施する。 今後の課題としては、当初より予定されていたことであるが、取得できるデータに限りがあるため、その対処方法についての検討をする必要がある。こうした課題に対する適切な解決策を導き出すことで、政策志向の「使えるモデル」の完成を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、専門家会議において専門知識提供者に対して謝金を支払う予定であったが、フランスではこうした機会に謝金を支払う習慣は無く、支払わないほうが良いと共同研究者から指摘を受けたため、支払いを取りやめた。 人件費については、2014年度に実施する予定であったデータ整備作業が次年度に繰り越しになったため、使用を次年度に繰り越した。旅費は、当初、予定していなかった民間助成金が獲得できたため、民間助成金を用いて出張を行った。
|
次年度使用額の使用計画 |
2014年度に使用しなかった人件費は2015年度のデータ整備作業費として使用する予定である。 前年度使用しなかった旅費と本年度の旅費については今年度以降、主に学会出席および共同研究者との研究のための出張費用として使用する予定である。
|