研究課題/領域番号 |
26750122
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
牧野 秀成 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (20533516)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海事防災 / 津波 / AIS / 防災システム / 船舶挙動解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、船舶の航行データであるAISデータを利用することで大津波来襲を早期に把握し、それを陸上に通達するシステムの構築を目的とした研究である。これを実現するにあたり、26年度は以下の4つの課題に取り組んだ。① 2011年3月11日の大津波時に東北地方の海域を航行していた船舶の航行状況の把握し、② 個々の船舶について、津波の影響を受けた船舶の船体運動解析を行う。その解析結果から導かれる、③ 津波の影響を受けた船舶について定量的評価と④ 津波応答に関する判定アルゴリズムを構築する。 本年度の成果として、①については、大津波来襲時の船舶の航行状況をAISデータを基に再現解析し航行中の各船舶が何時何分に大津波に直面し、どのような船体挙動を示したかについて詳細を把握した。②については、①の解析結果を基に、津波の影響を受けたと推測される船舶を抽出し、それらの船舶についてのAISデータの静的情報を基に船体の詳細目をデータベース化し、それぞれの船型に応じた通常時の波浪中の船体運動を把握した。③については、①、②の結果を基に、船種毎(各船種についても大きさや形状により細分化する)に今回の津波時に船舶が航行中に受けた外力についての各ピーク値の時刻歴を抽出し、それら船舶を振り分けた各グループについて定量評価を行った。また、各ピーク値の時刻を読み取り、それらを地理情報システム上でマッピングし、その地点を明瞭化した。それらを全対象船舶に適応し、各ピーク値の等時間波状線を導出した。④については、③により導出した船体の津波応答係数を用いて、船舶が航行中に津波に遭遇したかどうかの判定アルゴリズムを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度に計画していた研究は全て実施し、所期の成果が得られたと考えている。加えて、次年度に実施予定であった解析対象海域の拡張にも着手しており、本研究は当初の計画以上に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画に従って研究を進める予定である。現状、特に問題点はなく研究計画の変更は考えていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であったGIS用PCの購入が遅延しため。
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次年度使用額の使用計画 |
GIS用PCを購入予定である。
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