研究目的(1)「交通情報不足下での MFD 用交通ネットワーク分割」を達成するために研究を進めた。静的な分割手法の開発に成功したうえで、動的な分割手法に挑む予定であった。研究活動の一環として、ネットワーク科学分野の重要な国際会議である NetSci 2014 に出席し、ネットワーク分析方法や交通ネットワークの研究について情報収集した。しかし、交通情報不足下での交通ネットワーク分割手法の開発は、静的な手法であっても短期間で完成させることが困難であったため、研究成果はまだ結実していない状況である。 上記の困難から、別の観点からも交通制御に関連する研究を並行して進めた。この研究は、東京大学 江崎貴裕氏、東京大学 西成活裕教授との共同研究である。都市交通を含む輸送ネットワーク上の流れは、移動体の密度に依存したダイナミクスに支配される。従って、輸送ネットワークの制御では、移動体の密度を基準とした流れの制御方法が求められる。そこで、輸送ネットワークの制御方法として、密度に依存してノードを開閉するという制御方法について研究を進めた。この密度依存型のノード開閉ルールによって、ネットワーク全体の流れの振る舞いが大きく変化すること、ならびに、流量が大きく改善される可能性があることが見出された。この研究成果をまとめた論文を論文誌に投稿しており、現在、査読を受けている段階である。また、プレプリント・サーバーの arXiv 上で、論文のプレプリントを公開した。
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