研究課題/領域番号 |
26750128
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研究機関 | 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター) |
研究代表者 |
鈴木 佐夜香 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, その他 (50714135)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 火の粉 / 大規模火災 / 火災 |
研究実績の概要 |
屋外での大規模火災は世界中で問題になっている。日本ではその都市構造から主に都市火災が対象となる。これまでの災害調査により大規模火災での火炎拡大は「飛び火」が重要な役割を果たすことが示されている。しかし、これまでの飛び火に関する研究は火の粉の飛距離に焦点が置かれたものばかりであり、火の粉の発生・着火に着目したものはほとんどない。実際に火の粉が降りかかった際にどのように建物等に着火するのか、また火の粉そのものがどのように発生するのか、ということを知ることは火炎の延焼を防ぐという点において非常に重要である。本研究では「日本の都市構造の火の粉への脆弱性」に焦点を当て、実大実験・ベンチスケール実験の双方を行い、火の粉による飛び火現象の理解を深めることを目的とする。 平成26年度は文献調査と予備実験準備を行った。過去の震災では火の粉による飛び火の被害が多く報告されている。近年その件数は減少しているものの、震災の際に風速が遅かったことから、「風速が早ければ」被害があったかもしれない点が指摘されている。また、近年においても木造家屋の火災では火の粉が発生しており、多くの目撃談が寄せられていることがわかった。また、火の粉の発生に関する文献調査も実施し、これまで使用している火の粉よりも単位投影面積当たりの質量の軽いものも発見されていることから、これまでより軽く、大きい火の粉の作成に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大規模火災での火の粉による飛び火の被害、及び、火の粉の発生に関して文献調査を行った。火の粉の発生に関する文献調査の結果、現状の火の粉よりもより軽く、より大きい火の粉の作成が必須と判断した。 文献調査を終え、これまでの飛び火の発生状況と風洞の最大風速(10m/s)より風速に関しては8m/sを基準に実験を行うことに決定した。予備実験結果をもとに実大実験でのそのほかの風速を決定する。 平成26年度は予備実験のためのセットアップに時間を費やすことになった。火の粉の大きさを変化させるため、これまで使用していた火の粉の原料に加え、別の形状の試料を基にした火の粉での検討を行った。その結果実験装置の改良を行い、これまでよりも軽く、大きい火の粉を発生させることに成功した。この火の粉を用いた予備実験の準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は平成26年度に実施予定であった予備実験をまず行う。その後解析・実大実験・小規模実験を行う予定である。予備実験の解析結果によってその後に続く実大実験・小規模実験で対象とする建築部位が決定されるため、両実験は平成27年度後半に計画されている。 予備実験ではすでに火の粉の大きさを変更できるように調整したため、これを受けて風速・建築物の建築方法・形状に関して様々な検討を行い、最終的な実大実験での条件を決定する。 実大実験では現実的な大きさで実験を行い、実験条件を変化させつつ着火までにかかる時間/着火のしやすさの変化を記録する。また、建物のどの部位が、どのように着火するのかという点を詳細に観察し、その後のベンチスケール実験に活かせるようにする。 ベンチスケール実験の目的は実大実験を再現すること、火の粉が発生してから試験試料が着火するまでの時間(着火遅れ時間)を比較することで試験試料の着火しやすさを検討することの2点である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備実験の遅れにより次年度使用額が生じている。多くの建材は該当年度中に購入はしたがいくつかの建材に関して購入が遅れたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金に関しては計画通り予備実験に必要な建材の購入に使用される予定である。 必要な建材の手配後、研究計画に沿って予備実験を行う。解析結果に伴い、実大実験・ベンチスケール実験での実験対象を確定するため、それに伴い建材の再購入を行う予定である。実大実験・ベンチスケール実験ともに建築作業補助が必要となるため、必要に応じて作業補助員を手配する予定である。また、旅費に関してはほとんどが実大実験設備への出張として、国内での移動に使用される予定である。
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