研究課題/領域番号 |
26750129
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原田 智也 東京大学, 地震研究所, 助教 (30452501)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 津波堆積物調査 / 九十九里海岸 / 八丈島 / 八重根遺跡 / 1782年津波 |
研究実績の概要 |
今年度は,7月下旬から8月にかけてと9月の2回の小笠原諸島父島における津波堆積物調査を予定していたが,7月下旬から8月にかけて予定していた調査は,台風12号と台風14号の小笠原諸島への相次ぐ接近により中止せざるを得なかった.また,9月の調査も台風18号と台風20号の小笠原諸島の接近によって中止せざるを得なかった.したがって,今年度は,来年度の津波堆積物調査に向けた準備をおこない,また,小笠原諸島における古地震や津波記録に関する文献と史料の調査をおこなった.その結果,八丈島の父島では,1854年安政東海地震の津波も襲っていることが分かったが,1872年にも父島において大津波が襲っていることが分かった.この津波来襲時に,日本列島付近で大津波を引き起こすような大地震は起こっておらず,また,遠地の大津波が日本列島の太平洋岸を襲ったという記録もない.したがって,来年度も引き続き,この津波について父島付近を波源とする近地津波の可能性も含めて検討し,この大津波による津波堆積物も調査の対象とする予定である.また,八丈島の八重根遺跡における遺跡内の地層から,津波堆積物と考えられる砂層が見つかっていることが分かり,1605年慶長地震の津波によってもたらされた可能性があると考えられる.さらに,来年度の津波堆積物調査のための調査の準備と習熟を目的として,1605年慶長地震による大津波が襲ったとされている千葉県九十九里町における海岸付近の水田(昭和の初めまでは大きな池であった)において津波堆積物調査を行った.調査の結果,津波堆積物の可能性がある砂層が,複数枚発見されたが,それらの堆積年代については,来年度において年代測定をおこない決定する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究における調査では、学生による補助の必要性と海の状況により、調査期間が夏休みの7月~9月に限られる。しかし、7月下旬から8月にかけての調査は、台風12号と台風14号の小笠原諸島への相次ぐ接近により中止せざるを得ず、また、9月の調査も台風18号と台風20号の小笠原諸島の接近によ中止せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、初年度の予備調査によって津波堆積物の候補となる砂層の存在が確認された父島の八瀬川周辺や境浦周辺において津波堆積物の採集を行い、得られた、有機物片から炭素14年代測定をおこない、砂層の堆積年代の測定を行う。また、砂層内に含まれる珪藻化石の種類から砂層が海由来であるかどうかの検討も行う。今年度は、台風の影響を受けない時期に調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究における調査では、学生による補助の必要性と海の状況により、調査期間が夏休みの7月~9月に限られる。しかし、7月下旬から8月にかけての調査は、台風12号と台風14号の小笠原諸島への相次ぐ接近により中止せざるを得ず、また、9月の調査も台風18号と台風20号の小笠原諸島の接近によ中止せざるを得なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の小笠原諸島父島における調査では、台風の接近時期を避けて行う、また、年代測定費用や謝金により、予算を的確に使用する予定である。
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