研究課題
放射光蛍光X線CTは非放射性元素の空間分布を高感度・高空間分解能に画像化できるが,従来法では撮像に1日程度を要し,in vivoへの適用を困難にさせていた.これは,現行の撮像方式が第1世代型CT,すなわちペンシルビームによるデータ取得方式を採用しているからであり,投影データを1点ごとに取得しているため,1断面の撮像にも数時間要する.この方式に依っている限り高速撮像は望めず,in vivo撮像においてはモーションアーチファクト等による画質劣化は避けられない.本研究では,高空間分解能・高速撮像のためにピンホールを用いる新しい撮像方式と高精度CT再構成アルゴリズムを提案し,これらの有効性をシミュレーションや実験を通して実証した.具体的には,撮像システムに25穴のマルチピンホールを用い,1度の撮影で25枚の投影像を同時に得ることが可能になった.再構成法では新たに撮像方式に基づいたEMアルゴリズムを取り入れ,検出されたフォトン数が数100個程度であっても定量的にCT像を再構成できるようになった.これらの開発により,撮像時間は約1時間までに短縮された.本手法の実証のために,数個の穴を空けたアクリル円筒に低濃度のヨウ素を入れたファントム撮影を試み,空間分解能約200 um,濃度分解能約50 ug/mlの蛍光X線3次元CT像を得ることが可能になった.
2: おおむね順調に進展している
今年度の実験によりマルチピンホールを用いた蛍光X線撮像法が撮像時間の短縮に有効であることが実証された.
小動物撮像を行うためには,濃度分解能の向上が不可欠であり,撮像方式・再構成法の改良やターゲット元素の変更などを考えている.
本研究でデータ解析用ワークステーションとデータ測定用PCを購入予定であったが,当初計画時の予算額より支給額は大幅に減額されたため,次年度の予算と合わせて購入することにしたため
今年度購入予定であったデータ解析用ワークステーションとデータ測定用PCを次年度購入する予定である.
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