研究課題/領域番号 |
26750146
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小野島 大介 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任講師 (40510219)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 1分子計測(SMD) / 細胞・組織 / マイクロ・ナノデバイス |
研究実績の概要 |
本研究は、DNAメチル化異常を持つがん細胞を対象に、分子・細胞レベルの病理検査デバイスの開発を実施するものであり、本年度は昨年度のメチル化DNAを伸長固定するデバイスの研究実績を発展させた研究として、本デバイスを用いた1分子レベルの測長によるメチル化DNAと非メチル化DNAの同定試験を行った。メチル化DNAと非メチル化DNAの測長は、インターカレーター色素YOYO-1で染色したDNA分子をデバイス上で並列伸長し、全反射蛍光顕微鏡で観察することにより達成した。測長によるメチル化DNAの同定は、200分子の計測結果を統計解析することで達成した。メチル化DNAは非メチル化DNAに比べて分子の剛性がアップし、伸長が20%程度抑制されることを明らかにした。同様の1分子レベルの測長を48.5kbpと17kbpの非メチル化DNAに適用した実験により、非メチル化DNAのサイズ分離検出を達成した。また、メチル化DNAを伸長固定する本デバイスを細胞向けにカスタマイズし、メチル化DNAを含むがん細胞を1細胞ずつ並べて捕捉する技術開発を進めた。がん細胞用の捕捉構造に関しては、溝構造の形状・寸法を検討し、単一細胞の捕捉率が最も高いパターンを実験的に求めることに成功した。がん細胞を含む懸濁液の導入に関しては、ピペッティングと重力沈降を組み合わせた手法を新たに検討し、従来のポンプを用いた手法を大幅に簡易化したプロトコルを確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、がん細胞やがん細胞由来の診断マーカーを固定化(標本化)するデバイスを作製することにより、がん細胞が増殖を開始する前の段階から実施可能な細胞・分子計測技術を新たに構築し、早期がんに関連する病理検査学的進展を達成することである。本年度は、昨年度の研究実績の応用開発により、メチル化DNA分子の測長技術、メチル化DNAと非メチル化DNAの分離・同定技術、及びがん細胞の1細胞捕捉技術を開発できており、現在までの達成度はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究実績を発展させた研究として、デバイス上に1細胞捕捉したがん細胞を回収し、1細胞由来のDNAからメチル化異常を遺伝子解析する技術開発を進める。また、回収後のがん細胞を1細胞から培養する技術開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の物品・消耗品の一部を別予算で購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予定の物品費・消耗品費に上乗せして使用する。
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