小胞体は、異常タンパク質が蓄積すると小胞体ストレスと呼ばれる状態になりアポトーシスを誘導する。本研究では、タンパク質のチオール基との反応性を有する分子を細胞内に移行させることにより、細胞内のタンパク質と薬物の反応によりタンパク質を変性させて、小胞体ストレスに基づく細胞死を人為的に誘導する方法を検討した。この結果、数種類のクロロメチルアルカン化合物は単体で投与しても細胞毒性が低いのに対し、ナノ粒子により化合物を細胞内導入することで高い細胞殺傷性を示すことを明らかとなり、ナノ粒子の細胞内導入の制御により選択的に細胞死を誘導できる新たな細胞殺傷薬として利用できる可能性が示された。
|