研究課題/領域番号 |
26750163
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐野 将之 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 主任研究員 (80415687)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイクロRNA / RNAベクター / 細胞改変技術 / 遺伝子発現 / 機能制御 |
研究実績の概要 |
マイクロRNAは細胞の分化や増殖、恒常性の維持など様々な生命現象の制御に関わっており、いくつかのマイクロRNAは細胞・組織特異的に発現することで、細胞の形態や性質の決定に大きく寄与していることが知られている。さらに、細胞・組織特異的マイクロRNAは細胞改変技術にも利用できることが分かっており、これまでに合成RNAやレンチウイルスベクター等を利用した細胞改変技術が報告されている。本研究では、マイクロRNAの機能を制御できるRNAベクターを構築し、細胞改変技術に応用することを目的としており、本年度は、RNAベクターにマイクロRNA配列を組込み、このベクターからのマイクロRNAの発現について検討・評価を行った。まず、いくつかのマイクロRNAについて、マイクロRNA配列を組込んだRNAベクターの構築を行った。ベクターを培養細胞に導入後、マイクロRNAの発現を調べたところ、ベクターに組込んだマイクロRNAが成熟型マイクロRNAとして産生されていることが確かめられた。また、ルシフェラーゼを利用した活性評価法により、産生されたマイクロRNAが遺伝子発現抑制活性をもつことも確認できた。さらに、RNAベクターから発現させたマイクロRNAの発現量および遺伝子発現抑制活性を従来のマイクロRNA発現系を使ったものと比較することで、構築したRNAベクターの細胞改変技術への利用に向けた可能性を評価することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロRNA配列を組込んだRNAベクターについて、マイクロRNAの発現および活性を調べ、いずれも良好な結果を得ることができた。また、従来のマイクロRNA発現系との比較検討から、今後の細胞改変技術に適用できる可能性を評価することができた。
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今後の研究の推進方策 |
構築したマイクロRNA配列を組込んだRNAベクターが細胞改変技術に利用できるかを調べていく。また、マイクロRNAの機能をさらに制御できるよう工夫したRNAベクターの構築を試み、マイクロRNAの効果を促進できるような条件を調べることで、より細胞改変技術に適用しやすいRNAベクターの構築を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究の進捗状況に合わせ、一部を次年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の遂行に必要な分子生物学用試薬、細胞培養用試薬などの消耗品の購入に使用する。また、学会において本研究の成果発表や情報収集を行うための費用として使用する。
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