患者のいるその場で行える治療薬物モニタリング(TDM)は,安全で効果的な薬物治療のために有用である.本研究では,採血不要で迅速なTDMを目指し,涙液のラマン分光によるTDMシステムを提案する.涙液採取とラマン散乱測定用の基板として紙を利用する.これにより,極めて低侵襲にサンプルを採取し,容易で安価にTDMを実現できる.紙へ金ナノロッドを吸着させた基板を作製した.これにより,人工涙液中の薬物のラマン散乱光が増強されることを確認した.基板の作成が簡易かつ安価であり,測定には複雑な前処理を必要としないことから,オンサイトでのTDMにおける有効性を示した.
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