運動療法を中心とする心臓リハビリテーションが、各種の侵襲的治療や薬物治療にも劣らないすぐれた予後改善効果を有することは明らかである。しかし、外来心臓リハビリテーションの実施施設は依然限られている。保険診療で認められる5カ月間の通院リハビリテーション、監視型運動療法ののちに自己での運動療法を継続できる割合は高くない。本邦において、問題なのは患者自身が積極的に運動療法を続ける意志がなければ、通院リハビリを終了すると同時に運動をやめてしまうことである。患者自身と一般のスポーツ施設の啓蒙が必要であり、本研究では監視型の運動療法を十分に実施した患者を、事前に相談した一般スポーツ施設における非監視型運動療法へと誘導し、その安全性、有用性を確立することを目的とした。 これまでに、特定のスポーツジム(複数か所に支店あり)と研究者である松尾にて連絡調整をおこない、10名以上の患者を依頼するシステムは構築可能であった。また、院内の理学療法士において、電子デバイスを用いて患者管理を容易にし、今後外部の施設にデータを提供する際の利便性の向上がなされた。しかし、各所の連携調整などに勤務医である研究者のみでは限界があり、さらには研究者の出産による研究中断があったため想定よりも研究の進捗は遅延してしまった。その中でも、スポーツ施設を使用した自己による非監視型心臓リハビリテーションの本場であるドイツの研究者や施設、国内の各施設と密に連絡をとり、実際に岐阜県においては心臓リハビリテーションを岐阜大学主導で全県的にバックアップしていくシステム構築が可能となった。
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