研究課題/領域番号 |
26750185
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
熊岸 加苗 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (10597892)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / ヒアルロン酸 / 運動療法 / 関節軟骨 |
研究実績の概要 |
昨年度、ヒアルロン酸投与と運動の併用療法により、変形性膝関節症(OA)患者関節液中のIL-6や細胞外基質分解酵素活性が低下したことを報告した。そこで今年度は、患者で観察された併用療法の効果の詳細メカニズムを検討するために、ラットOAモデルを用いて組織学的な解析を行った。 6週齢ラットの右膝関節の前十字靭帯、内側側副靭帯を切断、内側半月の前半部を除去し、術後7日目よりトレッドミルを用いて4週間の運動負荷を行いOAの状態を誘発し、モデルラットを作製した。OAの進行度別に解析を行うために、運動強度別に3群(速度15m/min,A群:5分、B群:30分、C群:60分)を設定した。また、3群をそれぞれヒアルロン酸非投与群と投与群(2回/1週)に分けて、両者の軟骨破壊度の比較検討を行った。組織学的解析には、サフラニンO染色を用いた。 OAモデルラットに運動を行った結果、ヒアルロン酸非投与群では、運動負荷が大きくなるほど、組織破壊が著明であった。運動負荷の軽いA群では、関節軟骨の変性が表層にのみ観察されたのに対し、負荷の大きいC群では、軟骨細胞の変性が深層にまで達していた。さらに、これら同様の条件で、ヒアルロン酸を投与した場合については、非投与群と比べて変性の度合いが緩やかであった。 以上の結果より、運動負荷のみを加え続けた状態だけでは軟骨破壊は助長されることがわかった。このことから、運動負荷とヒアルロン酸投与の併用療法の有用性が示唆され、患者の臨床データだけでは分かり得なかったヒアルロン酸投与による軟骨組織の保護が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が順調に遂行できているため、当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後当初の計画通りに進めていきたい。 変形性膝関節症のモデルラットを用いて、関節軟骨の病理学的解析を進め、ヒアルロン酸投与の有用性を更に追求していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物運動用トレッドミルを購入予定であったが、姫路獨協大学より拝借することができたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
拝借しているトレッドミルのメンテナンス費用に充てたい。また、動物運動モデル解析のための試薬代、動物実験施設の使用料等にも充てたい。
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