研究課題
本年度は不動によって惹起される関節包の線維化に対する振動刺激の効果を検証することを目的とし,ラット膝関節屈曲拘縮モデルを用いた検索を行なった.実験動物には12週齢のWistar系雄性ラット8匹を用い,両側膝関節を最大屈曲位にてギプスで4週間不動化する不動群と不動期間中に振動刺激を負荷する振動刺激群に振り分けた.振動刺激の負荷方法としては,ラットの腹腔内にペントバルビタールナトリウム(40mg/kg)を投与した後,麻酔下にてギプス包帯を除去し,市販のバイブレーター(メディアクラフト社製,周波数50Hz)を用いて両側の膝窩に対してそれぞれ1日1回20分,週5回の頻度で振動刺激を負荷する.なお,振動刺激を負荷する際には,膝関節を過剰に伸展することで伸張刺激が負荷されないように注意を払った.拘縮の発生・進行状況を確認する指標として,実験期間終了後に膝関節伸展可動域(ROM)を測定した.具体的には,麻酔下にてラットを側臥位とし,0.3Nの張力で膝関節を他動的に伸展させた際の伸展角度を測定した.その結果,実験期間終了後における不動群と振動刺激群のROMには有意差はみられなかった.今回の結果から不動の過程で振動刺激を負荷したとしても,拘縮の発生・進行を抑制することは困難であることが示唆された.振動刺激は組織の血流を増加させることが先行研究により明らかになっているが、体表からの刺激では深部にある関節包に直接刺激を伝達することが困難であったことが推察できる.今後は超音波など,体表からより深部まで刺激を伝達できるデバイスでの検討を行なう必要があり,この点が今後の課題である.
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Journal of Orthopaedic Research
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10.1002/jor.23498
Connective Tissue Research
10.1080/03008207
http://www2.am.nagasaki-u.ac.jp/pt/basic_pt/index.html