身体質量重心の力学的エネルギー変換効率は、歩行中の重力の効率利用の程度を定量的に表す指標である。 従来、歩行中の力学的エネルギー変換効率を算出するためには、床反力前後方向成分と鉛直方向成分データから算出する方法と三次元動作解析装置を使用し、身体合成重心の軌跡から算出する方法が用いられていたが、いずれも大規模な実験室環境が必要でリハビリテーション現場には普及していない。本研究は、脳血管障害や高齢重複疾患患者などの低歩行能力者を対象に、歩行時の力学的エネルギー変換効率の評価を病院・施設などの臨床現場で容易に可能とするシステムの開発・臨床評価を目的としている。 本研究ではキネクトV2センサを活用し、人間の関節および身体質量重心の位置を自動的に取得し、リアルタイムに歩行中の力学的エネルギー変換効率を算出するアプリケーションを開発し、精度検証実験を実施した。提案したシステムと既存手法である三次元動作解析システム(VICONシステム)との誤差率は、1%未満と低く、リハビリテーション場面で歩行評価を行う上で支障のない範囲であった。 平成26年度の研究実績は、国際会議発表2件、国内会議発表7件であった。平成27年度の研究実績は、査読付原著論文1件、国際会議発表2件、国内会議発表5件であった。平成28年度の研究実績は、査読付原著論文1件(印刷中)、国内会議発表4件であった。
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