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2014 年度 実施状況報告書

認知症予防のための瞳孔反応ロボットの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26750223
研究機関岡山県立大学

研究代表者

瀬島 吉裕  岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (40584404)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード瞳孔反応 / ヒューマンインタフェース / ヒューマンインタラクション / コミュニケーション / 画像処理
研究実績の概要

近年,日本の高齢者における認知症患者(予備軍を含める)が年々増加しており,予防対策が喫緊の課題である.認知症の予防法としては,薬物療法・食事療法・心理療法等があるが,認知症予備軍に対する効果的な予防法が検討されていない.そこで本研究課題では,予防法の観点から日常的な無意識的な行動,とくに人間の興味関心と密接に関連している瞳孔反応に着目して,コミュニケーション時におけるユーザの瞳孔反応を計測・解析し,それらの情報を長期的に記録・分析することで,認知症の進行状況を把握し,より効果的な予防対処へと展開する瞳孔反応ロボットシステムの研究開発を進めている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度の研究目標としては,人と人とのコミュニケーション時における瞳孔反応を解析し,その結果に基づいて瞳孔反応を再現するモデル化を行うことである.
そのため,平成26年度では,対面および非対面状態においてコミュニケーション実験を行い,視線計測デバイスを用いて瞳孔反応を解析した.その結果,話者の場面において,瞳孔径が有意に拡大することや,話者が見えない非対面コミュニケーションでは,瞳孔拡大の割合が対面コミュニケーションとは異なることを示した.さらに,この結果に基づいた瞳孔反応を再現するためのモデルを構築し,コミュニケーション時に瞳孔反応するCGキャラクタシステムを開発した.開発したシステムを用いてコミュニケーション実験を行った結果,対話しやすさが向上する等,瞳孔反応がインタラクション支援に有効であることを確認した.そのため,平成26年度では研究目標を達成しているといえる.また,当初の研究計画には無かった予防法として,ワーキングメモリの活性化の観点から,インタラクションが活性化された状態(場の盛り上がり)と瞳孔反応のモデル化についても研究開発を進めている.場の盛り上がりや一体感がユーザに快感情の刺激を与え,興味関心を促す新たなコミュニケーション予防法として期待される.

今後の研究の推進方策

今後の研究計画として,これまでに開発を行ったCGキャラクタシステムを改良し,顔面を中心とした瞳孔反応ロボットを研究開発する.まず,瞳孔反応が知覚しやすいように眼球に特化したロボットインタフェースの設計製作を行い,ロボット等の物理メディアによる瞳孔反応を感性評価により検証する.そして,コミュニケーション時にユーザの瞳孔が計測できるようにロボットシステムに計測インタフェースを組み込み,AAM等の顔認識処理を応用してユーザの瞳孔解析を長期的に行えるシステムを開発する.加えて,場の盛り上がりと瞳孔反応との関係性を解析し,コミュニケーション時や認知課題等によるワーキングメモリの活性化の可能性を検討する.そして,これらの知見を用いて開発する瞳孔反応ロボットに統合し,瞳孔に着目した無意識的な情動反応等を解析する知的ロボットシステムに昇華させる.また,ヒューマンインタフェース分野およびロボットインタラクション分野の国際会議に参加し,平成26年度の研究成果の発表と資料収集を行う.さらに,研究協力者である大学院生1名によりコミュニケーション時における場の盛り上がりと視線情報等の関係性について国際会議等で発表する予定である.

次年度使用額が生じた理由

これまでに開発してきた視線計測デバイスにおける瞳孔径の計測精度を評価した結果,購入予定であった瞳孔計測装置と同程度の計測精度が得られたため,瞳孔計測装置ではなくこれまでの視線計測デバイスを用いて瞳孔計測実験が実施できた.また,複数の競争的資金の採択により,当初予定していた旅費および人件費等を採択された補助金に充てることができた.

次年度使用額の使用計画

当初の計画には無かった3Dスキャナーを購入し,よりリアルなロボットの顔面を製作することで,効率的かつ高品質なロボットを設計開発する予定である.

備考

2014年度 日本感性工学会論文賞受賞

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] メンタルヘルスの定量的評価のためのアイコンタクト計測システムの開発2015

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕,長篤志,神代充,渡辺富夫
    • 雑誌名

      日本福祉工学会誌

      巻: 17 ページ: pp.11-19

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Development of an Expressible Pupil Response Interface Using Hemispherical Displays2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sejima, Yoichiro Sato, Tomio Watanabe
    • 学会等名
      the 24th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN2015)
    • 発表場所
      日本,神戸
    • 年月日
      2015-08-31 – 2015-09-03
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of a Speech-Driven Embodied Entrainment Character System with Pupil Response2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sejima, Yoichiro Sato, Tomio Watanabe, Mitsuru Jindai
    • 学会等名
      the 17th International Conference on Human-Computer Interaction (HCII2015)
    • 発表場所
      米国,ロサンゼルス
    • 年月日
      2015-08-02 – 2015-08-07
    • 国際学会
  • [学会発表] 音声対話における瞳孔反応を表現するCGキャラクタの開発2014

    • 著者名/発表者名
      村上和輝,瀬島吉裕,佐藤洋一郎,神代充,渡辺富夫
    • 学会等名
      日本人間工学会中国・四国支部,関西支部合同大会
    • 発表場所
      岡山県立大学
    • 年月日
      2014-12-13 – 2014-12-13
  • [学会発表] 対面コミュニケーションにおける瞳孔反応の分析2014

    • 著者名/発表者名
      瀬島吉裕,村上和輝,佐藤洋一郎,神代充,渡辺富夫
    • 学会等名
      日本福祉工学会第18回学術講演会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2014-11-29 – 2014-11-30
  • [学会発表] Development of an Interaction-activated Communication Model Based on a Heat Conduction Equation in Voice Communication2014

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Sejima, Tomio Watanabe, Mitsuru Jindai
    • 学会等名
      the 23rd IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN2014)
    • 発表場所
      英国,エジンバラ
    • 年月日
      2014-08-25 – 2014-08-29
  • [備考] 岡山県立大学情報工学部人間情報工学科 コンピュータ工学研究室

    • URL

      http://www-ce.ss.oka-pu.ac.jp/

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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