研究課題/領域番号 |
26750225
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
井平 光 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (60516590)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | がんリハビリテーション / 理学療法 / 物理療法 |
研究実績の概要 |
オキサリプラチンが含まれる化学療法では末梢神経障害が副作用のひとつとして挙げられ、この副作用が日常生活に支障をきたし治療の継続が困難になる場合もある。本研究の目的は、外来化学療法を受ける患者に対して、オキサリプラチン誘発性の末消神経障害を予防するための取り組みについて検討することを目的とした。対象は、当院の外来化学療法室でオキサリプラチンを含む化学療法を受けた患者8名とした。初回投与前に末梢神経障害の評価と質問紙によるQOL評価を実施した。外来化学療法に移行後は、毎回の通院時に評価と介入を実施した。末消神経障害の評価としては、主観的なしびれ感、触覚閾値、二点識別覚、手指巧緻性、および握力を測定し、QOLはEORTC QLQ-C30を用いて聴取した。介入は、オキサリプラチン投与中に温熱グローブを装着させ、投与後の生活でも冷感暴露を避けるように指導することであった。研究期間のなかで化学療法の施行回数は平均5.4±2.3回、オキサリプラチン総投与量の平均は688.5±449.5mgだった。このうち主観的なしびれ感を訴えた対象者は8名中2名(25%)だった。反復測定分散分析の結果、触覚閾値、二点識別覚、手指巧緻性および握力に有意な低下は認められなかった。また、EORTC QLQ-C30においてもすべての項目で有意な低下は認められなかった。本研究の結果は、外来化学療法時の温熱療法と生活指導がオキサリプラチン誘発性の末梢神経障害を抑制することに関与している可能性を示した。この理由としては、温熱療法を施行し、在宅でも冷感暴露を予防することを指導した本研究の取り組みが、急性末梢神経障害の要因とされる温度受容チャネルの亢進を抑制し、結果として発現割合を低下させ、QOLの維持につながったと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象者の末梢神経障害に対する評価方法や介入方法は計画通りに実施することが出来ている。本介入による有害事象なども報告されておらず、安全性にも問題ないことが明らかになっている。
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今後の研究の推進方策 |
さらに対象者を増加させるとともに、測定した変数を詳細に分析し目的に沿った考察を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象者への謝金対応を変更したことで、この分の経費が当該年度余剰分となった。また、物品購入に関しても、介入手段として予定していた温熱グローブが安価に購入できたため当該年度余剰分となった。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の使用計画としては、測定が順調に進んでいるため成果報告を前倒しにできる。そのため学会発表や論文報告を積極的にする予定であり、学会参加旅費や英文校正費、論文掲載費などに予算を使用し、積極的な成果報告を行う予定である。
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