研究実績の概要 |
進行性大腸がんに対してオキサリプラチンを使用する外来化学療法を施行した患者34名(男性22名、女性12名、平均年齢63.5±11.7歳)に対して、治療開始前(ベースライン)に感覚評価を実施し末梢神経障害を観察した。また、初回の治療から6ヶ月後に再評価(事後評価)を実施した。評価者は感覚検査について十分に訓練された理学療法士が実施した。対象者34名(介入群17名、対照群17名)のうち、26名(介入群14名、対照群12名)が事後評価の実施を完遂した。各変数について二元配置分散分析を実施した結果【介入群(ベースライン時平均値±標準偏差-事後評価時平均値±標準偏差)vs. 対照群(ベースライン時平均値±標準偏差-事後評価時平均値±標準偏差), 交互作用p-value】、NCI-CTC【(0.3±0.8-0.7±0.8) vs. (0±0-0.8±1.2), p=0.52】、VAS【(13.1±25.8-20.6±28.9) vs. (0.8±2.6-21.3±27.4), p=0.29】、表在感覚閾値テスト【(0.7±1.5-0.5±0.5) vs. (0.3±0.3-0.5±0.5), p=0.42】、手指巧緻性テスト【(13.3±1.8-13.2±2.7) vs. (13.3±1.8-13.7±2.5), p=0.54】、握力【(31.4±11.1-32.6±9.9) vs. (30.9±7.0-28.2±7.8), p=0.06】であった。本研究の結果から、温熱グローブによる介入には、オキサリプラチン由来の末梢神経障害を抑制させる明確な効果は認められなかった。しかしながら、握力に関しては、何らかの介入効果が期待できる可能性があり、今後も継続して検証する価値があるものと考えられた。
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