二箇所の地域活動支援センターにおいて「地域に在住する精神障害者が音楽活動を行うことによる医学的側面と日常生活的側面の両者への影響を確かめること」を目的として実践活動を行った。初年度より、施設職員と音楽活動や活動介入前後評価の実施方法などについて調整を図ったが、実際の活動場所が福祉領域であるのに対し、申請者が計画した評価内容が医学的傾向が強く実施が困難であったことから、研究デザインの変更を余儀なくされ1年の延長を申請した。次年度以降は活動参加者および施設職員の負担が少ない評価を用いて実施する予定であったが、研究協力予定職員が退職してしまい実施できなかった。そのため最終年度は参加者本人の行動変容や活動時の発言・活動記録などを対象にテキストマイニングを用いて分析を行うほか、自己効力感やQOL、生活満足度などを用いた評価計画をたてた。同時に目的に「”音楽活動”という意味のある作業が当事者の生活に組み込まれることによる地域生活継続に対する影響を検証すること」を加えた。 この活動を継続する中、定着するメンバーがいる一方で支援センターを卒業する者も居たことから、活動内容はグループの成熟度に沿って成長させるより、音楽的知識を必要とせずとも失敗体験とならずに誰もが合奏活動に取り組めるような活動が必要であった。このことから対象者用の集団合奏用楽譜の作成に取り組むことにより、活動継続のための音楽活動実践は順調に遂行できた。だが、申請者の本来の業務とのエフォート調整が上手くいかず、新たに計画した地域生活継続に対する影響について検証するまでには至らなかった。
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