研究課題/領域番号 |
26750230
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山口 武彦 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (50713442)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / ジェロンテクノロジー / VRリハビリテーション / エラーレスラーニング / アルツハイマー型認知症 / ADL |
研究実績の概要 |
提案した新しいエラーレスラーニング(EL)システムは,ヒト型の仮想アバタを介してアルツハイマー(AD)患者の学習目標への注意誘導を行う.具体的には,アバタとの自然な協調認知的コミュニケーションをプロンプトとして与えることができ,アバタの振舞を患者の状況に合わせて適切に変化させることにより,患者の感情特性を考慮したプロンプトの設計が可能となる.提案システムを実現するための技術的な課題として, ①AD 患者が起こそうとしているエラーを予測検出できる機能,そして,②予測されたエラーから AD患者の注意をそらし,学習目標のタスクへと注意を促し,かつ主体的にタスクを行わせるように誘導する機能の検討が必要である.
本年度は,①の課題の解決を主に行った.タスク中のエラーパターンの解析とガイドラインの作成を行い,エラーパターンの包括的な整理を行った.次にエラーパターン予測アルゴリズムの開発を行った.具体的には,jerk最小化モデルを用いた手先の移動位置予測アルゴリズムとPreshaping(人間が物をつかもうとするときに把持対象の形状に応じて手の形を準備する行動)の検出アルゴリズムを組み合わせることにより,患者が事前に把持しようとしている対象を予測可能なアルゴリズムを開発した.開発したエラー予測システムの評価を行った結果,高い精度でエラーおよび正解の行動を識別できることが分かった.また,行動終了までに要する時間を1秒で正規化した場合,平均約0.28秒でエラーを検出できることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は,当初の研究計画通り,おおむねエラーパターンの予測検出技術の開発に費やされた.とりわけ,エラーパターンを解析するための特徴量の選定,および,数理モデル化に時間を費やした.エラーは,個人差の影響を受けるので多種多様な動きが想定される.今回開発したモデルでは,その多様さを考慮しきれていないため,新しいモデルの導入も視野に入れ,今後の課題とした.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,アバタの行動パターンを AI を用いて制御するフレームワークの開発を主に行う.エラーパターンの予測検出技術については,個人差の影響を軽減できる新しいモデルの導入を検討しており,具体的には,確率論的なアプローチを用いて対応する予定である.また,システム全体の評価として,アルツハイマー患者を用いた臨床評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が少額であったため,購入できるものがなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
残額は,翌年分の消耗品の購入に充てる.
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