研究課題/領域番号 |
26750234
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
小原 謙一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (10412256)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 臀部ずれ力 / リクライニング車いす / シートカバー |
研究実績の概要 |
これまでの我々の先行研究と前年度(26年度)の研究成果から、リクライニング車いすの背もたれを傾斜させる際に生じる臀部を前方へ滑らせる力(臀部ずれ力)を軽減させるためにリクライニング車いすが備えておくべき機能として、背もたれと身体背部の間の摩擦力を軽減させることが仮説として挙げられていた。 27年度には、この仮説を検証するために、背もたれと身体背部の間の摩擦係数を軽減させる背もたれ用摩擦軽減シートカバーを試作し、摩擦係数を軽減させた条件下での背もたれ傾斜中における臀部ずれ力の変動について健常者を対象として検討した。その結果、背もたれを後傾位から起立位に戻す際の臀部ずれ力の増大は、シートカバーを用いることで、用いない場合と比較して24%軽減していた。このことから、背もたれと身体背部の間の摩擦係数を軽減させることで、臀部ずれ力の増大を抑制し得ることが示唆された。 上記の検証結果をもとに考案した、臀部ずれ力軽減を目的とした背もたれ用シートカバーを特許出願中である。 さらに、上記と同様の検証を、高齢車いす使用者を対象として実施した。その結果、健常者を対象とした検証結果と同様に、臀部ずれ力の増大を軽減し得るものであった。したがって、高齢車いす使用者に対しても、上記仮説、及び背もたれ用シートカバーの効果が立証されたことから、本研究課題の目的である臀部ずれ力軽減のために必要な車いす機能の解明、及び臨床応用へ基盤づくりが大きく前進したものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
最終年度に実施する予定であった、実際の高齢車いす使用者を対象とした実験を前倒しで実施出来ており、その結果も仮説の通りであったため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の実験結果を、第51回日本理学療法学術大会、第32回日本義肢装具学会学術大会にて発表する予定である。また、その内容を、国際誌に投稿し、広く世界に公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度は国際学会および全国学会での成果報告のための旅費、および参加費を計上した。それに加えて、研究成果を英語論文として国際誌に投稿し掲載されたため、その英文校正代、および掲載費(Open Access)を計上した。さらに、計画よりも研究の進行が早まったため、実験を実施する上での諸経費(実験場所である協力施設への旅費等)を28年度の費用を前倒しで請求する必要があった。実験協力施設への旅費について、当初の計画よりも実験自体が円滑に進み、3日間の予定であったところ、1日で実験が完了したために予定よりも旅費が少なくて済んだことが、次年度使用額が生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に行った実験結果の成果を第51回日本理学療法学術大会(5月、札幌)および第32回日本義肢装具学会学術大会(10月、札幌)にて発表するための旅費、および参加費として、28年度分を計上する際、その不足分として計上する予定である。
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