研究課題/領域番号 |
26750239
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
門田 宏 高知工科大学, 総合研究所, 准教授 (00415366)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | fMRI / 運動学習 |
研究実績の概要 |
我々ヒトの持つ運動学習能力は生きていくうえで欠かせない能力の一つである。この運動学習能力について、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いることで、全脳を対象とした脳活動パタンを明らかにしていくことを本研究の目的としている。本年度は、被験者に運動学習を行わせ、運動学習前後の脳活動をfMRIにより計測し、脳活動を解析することで、運動学習に関わる脳活動を明らかにした。 実験はMRI対応のジョイスティックを用いて行った。被験者はスクリーン上に投影される画面を見ながらジョイスティックの動きに連動しているカーソルを操作し、スタート位置からターゲット位置まで動かす課題を行った。課題の途中から、ジョイスティックの動きとカーソルの動きの間にずれを生じさせる視覚運動変換を加え、ジョイスティックとカーソルの新しい対応関係を学習していく過程の脳活動をfMRIにより計測した。 ターゲット方向に対するカーソルの動きの誤差は視覚運動変換を与えた直後からセッションを重ねるごとに減少していった。このことから被験者は視覚運動変換に徐々に適応していったと考えられる。また、脳画像を解析した結果、視覚運動変換を与える前に比べて、視覚運動変換を与えて運動学習を行っている時に、運動前野や大脳基底核等の運動関連領域に脳活動が見られた。これらの結果は運動学習にともなう脳活動パタンの変化を明らかにしていくものであり、本研究の成果は、ヒトが新たな運動スキルを身につけていくときの神経メカニズムの解明に貢献できるものであると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究では、視覚運動変換課題の運動学習を行っているときの脳活動をfMRI(Siemens Verio, 3テスラ)によって計測し、SPM12を用いて解析を行った。その結果として、運動学習に関わる脳活動を推定できたことからからおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では、脳活動の解析としてSPM12を用いることで脳活動を明らかにしてきた。今後はより詳細な空間パタンを明らかにしていくために、複数のボクセルパタンの解析を検討していく予定である。 また、課題はMRIからのトリガー信号を受けて刺激を提示して行っているが、技術的側面の問題点として、現在の刺激提示プログラムでは約2000回に1回程度の頻度でMRIのトリガー信号を取りこぼしていた。そのためMRIのトリガー信号の延長および刺激提示プログラムのサンプリング速度の改良を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度より情報学群との兼任になり、次年度には個別の研究室が割り当てられることとなった。そのため、研究室が割り当てられてから研究推進に必要な機器を検討、購入する方がより効率的な研究推進につながると考え、次年度への繰り越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
6月上旬には研究室が割り当てられる見込みであり、それを踏まえて本研究に必要な研究機器を検討、購入していく予定である。
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