研究課題
我々ヒトの持つ運動学習能力はスポーツ場面やリハビリの場面に限らず,日々の生活を送る上でも欠かせない能力のであり、その神経基盤を解明していくことは神経科学や身体運動科学分野における重要な課題の一つである。本研究では、この運動学習能力について、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いることで、運動学習時の脳活動を計測し、運動学習に関わる脳活動パターンを明らかにしていくことを目的とした。本年度は、被験者に運動学習を行わせ、運動課題遂行中の脳活動をfMRIにより計測し、その脳活動パターンを解析した。実験では、被験者はスクリーン上に投影される画面を見ながらMRI対応のジョイスティックを操作した。被験者はジョイスティックを操作することで画面上に呈示されるカーソルを動かし、カーソルをスタート位置からターゲット位置まで動かす到達運動課題を行った。課題の途中から、ジョイスティックの動きとカーソルの動きの間に徐々にずれを生じさせる視覚運動変換を加えた。そして、このような変換を加えない条件(体の動きとカーソルの動きが一致する条件)と変換を加えた条件(体の動きとカーソルの動きが一致しない条件)を行っている時の脳活動パターンについて表象類似性分析を行った。その結果、体の動きとしては類似の運動をしていても視覚的な情報が異なることによって脳活動パターンが異なることが示唆された。この結果は多様な運動スキルを身につける神経メカニズムの解明に関与すると考えられる。
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: -
10.1038/srep23323, 2016