研究実績の概要 |
教員の仕事は、いわゆるブラック企業と同様かまたはそれ以上に過酷なブラック労働であるとの認識が世間で急速に広がっている。OECD(経済協力開発機構)の調査によると、わが国の学校教員の労働時間は諸外国と比較して長いなど、多忙な労働環境が浮き彫りとなった。また、文科省による精神疾患者に関する統計(H26年度)より教員の病気休職者は5,009名と示され、依然として高水準で推移している。このような状況にあるものの教師のメンタルヘルス悪化の改善策に焦点を当て検証を加えた研究は乏しい。 本研究は学校教員のメンタルヘルスの悪化に歯止めをかけ、改善を図るための‘最適な運動条件を明らかにする基礎研究(平成22―23年度)’を発展させ、メンタルヘルス増進のための運動条件を明らかにする前向き縦断研究を行い、メンタルヘルス改善に向けた運動方略に関する知見を提示することを目的としている。学校現場や教師の理解・協力を得つつ、信頼性や妥当性の備わった質問紙にて、運動量や精神的健康状態、さらには関連要因について継続的な検証を試みている。 研究期間を延長した4年目は、これまでの継続調査に関して、4年に一度の世界的な学術大会である‘国際スポーツ心理学会(ISSP 14th WORLD CONGRESS SEVILIA 2017)’にて研究発表を行い、国外の同領域の研究者と議論を行なった。また、日本体育学会第68回大会、日本スポーツ心理学会44回大会でも研究成果を報告し、国内の研究者と議論した。さらに、ここまでの議論を踏まえ、研究成果を取りまとめ学術誌に投稿した。査読者との議論や論文改稿をくり返し、掲載論文として受理された。これらから、残された課題であった国内外における研究成果の報告と学術論文としての公表を済ませることができた。今後は本研究で収集したデータを改めて精査し、国内の学術雑誌に報告を行う予定である。
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