研究課題/領域番号 |
26750246
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
原 祐一 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (80550269)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 評価 / 中学校保健体育 / 潜在的カリキュラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中学校保健体育科の評価をめぐる潜在的カリキュラムについて実証的に明らかにすることと、教員のキー・コンピテンシーを高める評価システム開発をすることにある。本年度は、文献を整理することと、そのなかでも特に複数のクラスに対して同じ授業を行いながら評価活動が進められる中学校体育授業の現状から、子ども達が学び取ってしまう潜在的カリキュラムについて言及することに主眼を置いて研究を進めてきた。 その結果、①学習集団に影響を受ける評価の潜在的カリキュラム、②絶対評価と相対評価をめぐる潜在的カリキュラム、③生徒の言語能力をめぐる潜在的カリキュラムという3つの特徴をとらえることができた。これらは,複数クラスの指導をする中学校だからこそ抽出できたものと考えられる。つまり、複数のクラスを担当するというシステムが存在するが故に、クラス間の格差をいかに少なくするのかといった論理と、現状の子ども達を正確に捉えなければならないという規範とのせめぎ合いの中で、教員は評価を行い、またそれが授業の内容や行い方に反映されているということである。 また、部活動の影響も多く受けており、体育授業の評価とともに部活動の地位が子ども達の進路形成に密接に関連し、「夢追い型の進路形成」に教師の評価が荷担しているという構造的な側面からの現状把握もすることができた。このような現状を踏まえた評価システムを構築しなければ、方法論のみ評価方法開発が行われても活用されにくい現状もつかむことができた。以上のことから、次年度の研究をさらに発展推進させていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究目的としてた中学校保健体育教員に対して、インタビュー調査やフィールドワークをすることを通して、教員がどのような意識を持ち、評価を行う際に何を考慮しているのかという内容について検討することが最重要課題であった。本年度は、フォーカスグループディスカッションをすることを通して、教員が普段あまり意識しないような内容まで深く調査することができた。 また、この成果を学会発表としてまとめ、報告することとなった。報告内容に対して、他大学の教員とディスカッションすることが可能となり、情報交換することができたため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成27年度に予定していた以下の項目に対して調査を進めていく予定である。 1)中学校保健体育教員に対する集団面接調査の結果をうけ、「子どもにとっての評価の意味」を中学校教員に対する質問紙調査とともに、中学校の生徒に対して質問紙調査を行う。配布部数は2000部程度を予定しており、学校単位の留め置き法によって実施する。 2)イギリスにおける評価システムを調査し、評価システム活用の原理を分析する。また、評価システムを運用する上での成果と課題について明らかにする。なお、本調査は、イギリスのラフバラ大学に所属する、マイク・ワーニング教授をカウンターパートとして調査を行う。 以上の研究計画を滞りなく進められるよう、計画的に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由としては、人件費として計上していた時間数を実際の作業過程の中で必要がなくなったため次年度への使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、計画的に人件費を計算し、本年度に必要な作業が滞りなく進められるよう予算執行を行う。
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