まず,「体つくり運動におけるねらいに応じた動きづくりに関する研究:ふれあいぺあラジオ体操を教材に用いて」をまとめた。ふれあいペアラジオ体操はラジオ体操を基本としたペアバージョン(藤瀬,2002)の体操であり,運動教材として選択した。対象者は大学生18名。2日間にわたり,ペアラジオ体操を教材とした体つくり運動の授業を実施した。「ペアラジオ体操」を指導後に,1つ1つの運動について,体つくり運動の「ねらい」を考えさせ,用紙に記入させた。指導者の意図したねらいを記入した者もいれば,異なるねらいを記入した者もいた。さらに,一つの運動に,二つ以上のねらいを定めた者もいた。このことから,体つくり運動では,実施者の経験から「ねらい」を定め,そのねらいに沿って動きをより高めていくことも必要性であることが示された,さらに,「手脚の運動」を「巧みな動き」を保ちつつ「力強さを高めるための運動」になるように動きを工夫させた。その結果,腕立ての方法をペアで工夫したり,関わり合いながらジャンプをしたりする動きが試案された。以上より,対象者にねらいを考えさせ,ねらいに応じた動きを工夫させる活動は体つくり運動においては重要であり,そのためには「ペアラジオ体操」は有用であることが示唆された。 次に,本研究課題のまとめとして,「体つくり運動の実施状況調査と現場での活用を目指した運動教材の検討:新潟県中越地区の体育主任を対象に」に取り組んだ。融合教材として考えられた3つの運動教材を教員に指導をし,感想を得た。対象者は新潟県中越地区の小学校・中学校・特別支援学校の体育主任86名であった。指導の結果,融合教材について,「とても役に立つ」55名(69.6%),「少し役に立つ」23名(29.1%),「あまり役に立たない」1名(1.3%)となった。概ね肯定的な回答が得られ,即時的に実践を試みたいという感想が多く得られた。
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