本研究は,生涯スポーツ政策を中心として,スポーツ政策の政策評価に資する新たな政策指標の開発を行うことを目的としている.この研究目的を達成するため,平成28年度は,前年度までの研究を踏まえ,我が国の生涯スポーツ政策において,これまで最も基本的かつ重要な政策指標として利用されてきたスポーツ実施率とは異なる政策指標の選定を行っている地方スポーツ推進計画の分析検討を行った.その結果,地方スポーツ推進計画における生涯スポーツ政策に関連する政策指標は,スポーツ実施率を始めとするスポーツ人口に関連する指標,総合型地域スポーツクラブに関連する指標,指導者に関連する指標,施設に関連する指標,教室・イベント・大会に関連する指標及びその他の指標の6つの領域に大別することができることが明らかとなった.その中でも特に,スポーツ人口に関連する指標や教室・イベント・大会に関連する指標は,その種類も多く,比較的多くの自治体で選定されていることから,生涯スポーツ政策における自治体共通の達成課題として認識されていること,また,計画全体を評価する特定指標を設定している都道府県や,スポーツ実施率に加えて複数の政策指標を設定している都道府県もあることから,生涯スポーツ政策という大きな政策分野を対象とする評価指標を考える場合には,特定指標のガバレッジの度合いについての検討,階層性を踏まえたKPI(重要業績評価指標)の設定,指標体系の構造化等が必要であることを指摘した.
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