研究課題/領域番号 |
26750271
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
片岡 正教 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (60611910)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ボッチャ / 脳性麻痺 / シーティング / バイオメカニクス / パフォーマンス |
研究実績の概要 |
本研究は、脳性麻痺者を中心とする重度障がい者のパラリンピック正式競技である、ボッチャの選手の競技パフォーマンス向上のため、座位姿勢が投球動作に与える影響を分析し、競技パフォーマンス向上に適したシーティングシステムを開発することである。まず、ボッチャ選手の競技パフォーマンスの一指標である投球距離に着目し、特に選手の身体機能の何が影響しているのかを検討するため、重度の障がいがあっても遂行可能なトレーニング方法について検証した。当初の予定では、健常者を対象に予備実験を行い、選手の投球時の座圧分析や競技用車椅子の制作に取り組む予定であったが、ターゲットスポーツであり、重度障がい者を対象にしたボッチャにおいて、選手のパフォーマンスに何が影響しているのかを検証する必要があると考え、当該年度では上記について分析を行った。 重度の障がいゆえ、可能な運動に制約があるため、車椅子上で簡易的にできる上肢の屈伸・内外転運動、体幹の側屈運動を素早く行わせ、その前後で投球距離を測定した。結果、対象者が6名であったが、有意に投球距離が向上し、即時的にパフォーマンスが向上する可能性が示唆された。負荷は自重のみであるが、動作を素早く行わせることで、特に上肢の素早い運動の際に体幹を固定するための力が働いたことや、直接体幹を運動させることで筋活動が賦活され、投球に影響を及ぼしたことが考えられた。 これらのことより、安定した座位ももちろんのこと、体幹の活動をある程度自由に出すことができるようなシーティングを考えることが重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では平成26年度に機器の購入や実験方法の検証、健常者を対象にした予備実験を行い、平成27年度に選手を対象にデータを取る予定であった。また競技パフォーマンスを向上することができるようなシーティングシステムの公安や競技用車椅子の制作も行う予定であったが、現在は研究実績の概要でも記したように、競技パフォーマンスに与える身体機能の影響について検証するためのデータ収集も行ったため、当初計画していたことと異なる方法で行うこととなり、計画よりも遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは選手の競技パフォーマンスの指標となるもの、特に投球距離に着目して進めてきたが、今後はターゲットスポーツにおいて特に重要なコントロールにも着目し、身体機能がこれらのパフォーマンスに与える影響を検証するとともに、より選手にとって有効な座位姿勢、シーティングについて検証していく。その中で競技に適した座面や固定方法、車椅子の開発へと着手していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定であった座圧分布測定機器の購入について、別の研究で使用していたものを同じように使用することができることがわかったため、購入をしなかった。また、実際に選手の投球時の座圧について分析するところに至らなかったため、本研究で当該年度に購入することができなかった。また同様に、車椅子の制作にも着手できていないため、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
座圧分布測定機器は新しく購入する必要性が低くなったが、研究がやや遅れていること、当初申請時に上限額の関係で計上できていなかった、データ分析やその他の研究補助等に関わっていただく専門的な協力者の人件費として使用したいと考えている。 また、最終年度では国際学会での発表も計画しており、その旅費等に使用したいと考えている。
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