四肢の基部を専用のベルトで圧迫し、血流制限しながらトレーニングを行う「加圧トレーニング」は、低負荷、短時間で行われるにもかかわらず、著しい筋肥大と筋力増強をもたらす。これは、医学的、生理学的に基礎研究がなされている。しかしながら、基礎研究を超え、応用的側面からスポーツ技術トレーニングにおける「加圧」の効果を検討した報告は少ない。本研究では、「加圧」を用いた、柔道における技術トレーニングがもたらす効果を運動生理学・生化学的な観点から検討し、競技力向上のための新しい技術・体力トレーニングプログラムを開発することを目的とする。 2014年度は、体組成に与える影響について研究を行った。体重、体脂肪、骨格筋、全筋肉、除脂肪体重、部位別筋肉量等を指標とした。その結果、通常行われる血流制限なし(加圧なし)の状態での打ち込みに比べ、血流制限下(加圧あり)での打ち込みは体組成に影響を与えることが明らかになった。 2015年度は、内分泌系に与える影響を、血中の成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、乳酸から検討した。その結果、通常行われる血流制限なし(加圧なし)の状態での打ち込みと、血流制限下(加圧あり)での打ち込みを行ったグループを比較したところ、いずれの値も実験前後において血流制限あり(加圧あり)のグループが有意に高い結果となった。 2016年度は、実験から得られたデータから理論と実際の効果について検討を行い、血流制限下における技術練習がもたらす効果を明らかにした。 2017年度は、2014年度~2016年度に学会発表を行った内容をもとに論文を作成する予定であったが、2016年度の熊本地震の影響があり発表が遅れている。
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