研究課題/領域番号 |
26750283
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小木曽 航平 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (00711235)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トランスナショナル / 移民 / 先住民 / メキシコ / アメリカ / ペロタ・ミシュテカ / コミュニティ |
研究実績の概要 |
本年度は、次に挙げる2つの現地調査を実施した。(1)アメリカ合衆国カリフォルニア州フレズノ群フレズノ市におけるメキシコ先住民伝統スポーツの実施状況の調査、(2)メキシコ合衆国メキシコシティ及びオアハカ州におけるメキシコ先住民伝統スポーツの実施状況の調査、である。それぞれの現地調査の結果、特に「ペロタ・ミシュテカ」と呼ばれるメキシコ先住民伝統スポーツのトランスナショナル(越境的)な活動実態が明らかになった。当事者たちにとっての文化資源化の様態の1つの表れとして、ペロタ・ミシュテカを通じたトランスナショナルな人的交流の創出とそれに基づく多層的なコミュニティの形成が確認された。
(1)では、メキシコ合衆国オアハカ州からの移民たちが故郷との結びつきを維持するためにペロタ・ミシュテカというスポーツを行っていることが確認された。年に一度開催される米墨間のトーナメント大会では、米国在住のオアハカ移民たちが作るチームとメキシコから招待されるチームが試合を行うなどして、相互の交流が図られていた。この調査から、「ディアスポラ」によるスポーツを通じたアイデンティティの維持、という視点からのスポーツ文化資源化論が展開される必要性が示唆された。 (2)では、上述のペロタ・ミシュテカに加えて、「ペロタ・プレペチャ」や他の種々の先住民伝統遊戯が国、NPO、市民という次元を違える主体の相互作用によって、保存・維持されている状況が確認された。この実際からは、先住民伝統スポーツをメキシコの重要な文化に定位しようとする明確な目的意識を観察することができた。
(1)と(2)を通じた研究成果からは、それぞれのアクターが先住民伝統スポーツの実践によって、自己の生を何からの意味でより良いものにしている様子が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿った形で、メキシコ先住民伝統スポーツの担い手たちの実態が明らかになっている。また、行政組織、非政府系組織、個人のそれぞれのアクターが先住民伝統スポーツを行う意義の違いも明確に分析することができるようになった。今後はさらに、上の3つのアクターたちへのフィールドワーク調査を実施、より構造的にメキシコ先住民伝統スポーツが文化資源化していく過程を解明する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アメリカ合衆国カリフォルニア州フレズノ市での二度目の調査とメキシコ合衆国での三度目の調査を予定している。前者については、ディアスポラと先住民伝統スポーツの関係を本研究の主たるテーマである文化資源化という観点から分析・考察していくことを目指す。後者については場所の創出過程の解明を軸に、先住民伝統スポーツの文化資源化過程を明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、2016年2月に予定していた現地調査に必要な費用として前倒し請求を行ったが、所属機関の校務との兼ね合いで実施できなかった。また、同時期に2016年7月にある国際スポーツ史学会での発表が採択されたため、繰越をすることとした。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した助成金については、2016年7月に発表予定の国際学会の渡航費及び同年8月に実施予定のメキシコ合衆国での現地調査の費用に充てる。
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