研究課題/領域番号 |
26750288
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
松尾 真吾 日本福祉大学, 健康科学部, 助教 (30725700)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スタティック・ストレッチング / ダイナミック・ストレッチング / 関節可動域 / stiffness / 筋力 / ハムストリングス / ウォームアップ |
研究実績の概要 |
スポーツ前のストレッチングは,怪我の予防やパフォーマンスの向上のために行われている。しかしながら,どのストレッチング方法がウォームアップとして最適か,未だ議論が続いており,これを解決するためには,ストレッチングの効果を包括的に評価し,判断する必要がある。そこで本研究では,関節可動域,stiffness(筋の硬さ),筋力に着目し,スタティック・ストレッチングまたはダイナミック・ストレッチングをそれぞれ単独で施行,およびそれらを併用して施行した際に各評価指標に与える影響を検証することが目的である。本研究の結果は,科学的根拠に基づいた最適なウォームアップ方法を提唱するための一助となると考えられ,健康増進を目的にスポーツを行っている者からトップアスリートまで,幅広い層に対する有益な情報となりうる。 スタティック・ストレッチングまたはダイナミック・ストレッチング単独での施行が,関節可動域,stiffnessに与える影響を検証した実験では,(1)どちらのストレッチング方法においても,ストレッチング後に関節可動域の増加およびstiffnessの低下が生じること,(2)ストレッチング後の関節可動域増加およびstiffness低下の程度は,ストレッチング方法の違いによる差を認めないこと,および(3)ストレッチング後の関節可動域増加およびstiffness低下は,スタティック・ストレッチングよりもダイナミック・ストレッチングの方が長く持続することを明らかにした。 今後は,関節可動域およびstiffnessに加えて,筋力についても検証するとともに,スタティック・ストレッチングおよびダイナミック・ストレッチングの併用が各評価指標に与える影響についても併せて検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,関節可動域,stiffness,筋力に着目し,スタティック・ストレッチングまたはダイナミック・ストレッチングをそれぞれ単独で施行,およびそれらを併用して施行した際に各評価指標に与える影響を検証することを目的としている。 平成26年度においては,まず,スタティック・ストレッチングまたはダイナミック・ストレッチング単独での施行が,関節可動域,stiffnessに与える影響を検証した。結果,どちらのストレッチング方法においても,ストレッチング後に関節可動域の増加およびstiffnessの低下が生じること,ストレッチング後の関節可動域増加およびstiffness低下の程度は,ストレッチング方法の違いによる差を認めないこと,およびストレッチング後の関節可動域増加およびstiffness低下は,スタティック・ストレッチングよりもダイナミック・ストレッチングの方が長く持続することを明らかにした。 以上の結果より,ストレッチング後の関節可動域増加およびstiffness低下をより長時間維持するためには,スタティック・ストレッチングよりもダイナミック・ストレッチングの方が有効である可能性が示唆され,このことはウォームアップとして行う最適なストレッチング条件を提案するための基礎的データになると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に行ったスタティック・ストレッチングまたはダイナミック・ストレッチング単独での施行が,関節可動域,stiffnessに与える影響を検証した実験では,ストレッチング後の関節可動域増加およびstiffness低下の程度を比較すると,ストレッチング方法の違いによるに差を認めないことや,ストレッチング後の関節可動域増加およびstiffness低下は,スタティック・ストレッチングよりもダイナミック・ストレッチングの方が長く持続することなどを確認した。今後は,これらの結果を基に,関節可動域およびstiffnessに加えて,ストレッチング後の筋力(等尺性,求心性)についても検証する。さらに,スタティック・ストレッチングおよびダイナミック・ストレッチングの併用が各評価指標に与える影響について検証し,平成26年度に得られた結果と比較・検討することで,ウォームアップに最適なストレッチング方法を提唱するための基礎的データを構築する。
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