研究課題/領域番号 |
26750289
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研究機関 | びわこ成蹊スポーツ大学 |
研究代表者 |
渡邉 泰典 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ学部, 助手 (50638418)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺残気量 / 浮心重心間距離 / 水中牽引時抵抗 / 2次曲線 / トルク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,残肺気量を変化させながら,浮心位置の測定ならびに前方牽引状態での抵抗を測定することにより,浮心重心間距離と水中牽引時抵抗の関係を明らかにすることであった. 研究代表者は,これまでの研究で残肺気量の変化にともなう浮力の増減の影響によって,浮心重心間距離が変化することを報告してきた.しかしながら,浮心重心間距離と泳者の前方方向への水中牽引時抵抗の関係については,いまだ不明瞭な点が多く詳細なデータの収集・検証が必要となる. 肺残気量の増加は,浮心重心間距離を延長させる.また,肺残気量増加による浮力の増加は,身体を水上へ浮き上がらせる一方で,下肢沈み込みトルクとして作用することが知られている.したがって,肺残気量の増加は水中牽引時抵抗の増加をもたらすとの仮説を立てるに至る. 本研究の検証では,浮心重心間距離と水中牽引時抵抗の関係は2次曲線で表すことができる結果となった.仮説のとおり,残肺気量が増加すると,浮心重心間距離は延長し,浮力トルクが増大した.浮力トルクの増大は,下肢沈み込みトルクとして作用するため,下肢の沈み込みがより顕著となり圧力抵抗が増えたことが考えられる.このことにより,水中牽引時抵抗が高値を示した可能性がある.それに対して,残肺気量が減少すると,浮心重心間距離は短縮し,浮力トルクも減少するが,全身がより深いところに沈んだことから,水中牽引時抵抗が高値を示したことが推察された. 大学競泳選手を対象とした本研究では,全被験者,全牽引速度(高速度:1.08 m/s,中速度:0.88 m/s,低速度:0.76 m/s)において水中牽引時抵抗最小時に比べ,中性浮力時の浮心重心間距離が大きくなる結果となった.したがって,泳者にとって最適な低抵抗ポジションは最大吸気と最大呼気の間に存在すること示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
測定機器を発展させるにあたり,呼吸ピックアップに関わる機能を付加させる作業が予想より遅れたため.
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今後の研究の推進方策 |
新たに付与する呼吸ピックアップ機能を用いて,呼吸様式の違いと水中牽引時抵抗の関係を明らかにするとともに,呼吸トレーニングによって,泳者が能動的に水中牽引抵抗を減少させられるかを検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の旅費の支出額が当初計画よりも少なくなったため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は国際学会での発表を予定しており,当該年度における差額は旅費の一部として充当する予定である.
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