本研究では,ラグビーにおけるコーチング支援のために(1)試合映像から所望のシーンを抽出する手法,(2)選手のパフォーマンスが評価可能になるための選手やボールの追跡手法をそれぞれ検討し,それらを組み込んだアプリケーションを開発することを目的としている。H30年度は(2)の項目に関して以下のことを実施した。 (a) 撮影した試合映像からの人とボールの検出:物体検出手法の1つであるYOLO(You Only Look Once)やSSD(Single Shot Multibox Detector)を用いて,各選手の検出を試みた。結果として,画像全体の大きさに対して人物が写っている領域が小さすぎる場合には未検出が起こったが,概ね検出可能であることがわかった。また,ボールに関しては,複数のテンプレート画像を用意し検出を試みた。これらの手法を動画に対しても適用し,その効果を確認した。 (b) 2次元位置座標の推定(マッピング):画像中からコートのラインを検出し,その情報をもとに(a)で検出した各選手の位置推定を試みた。(a)において,正しく検出されている場合には精度の検証は実施できていないが概ね正しい位置に推定されていることを確認した。また,実際に2次元のコートの模式図に選手位置のマッピングを行い,動画の場合には時間的に位置座標が変化する様子を見ることができた。 今後は,これらのソフトウェアを公開できるように整備していくことが必要である。
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