研究課題/領域番号 |
26750297
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
山本 浩二 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (50560447)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 社会性 / 運動部活動 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,これまでの筆者の先行研究(平成23~24年度科研費若手B研究)の追跡調査として,高校3年生を対象にアンケート調査を実施することを目的とした。平成24年度の高校生約6000名を対象として実施したアンケート調査によって,特徴が見られた高等学校,各種部活動を抽出し,当時(平成24年度)高校1年生だった生徒(現高校3年生)約1500名に対し,独自の「高校生社会性測定尺度」を用いた追跡調査を実施した。 分析の結果,高校3年間で,社会性得点は全体的に向上していた。さらに,性別や運動部活動所属の有無によって比較・検討したところ,特に運動部活動所属者の社会性得点は有意に向上しており,運動部活動の有効性の一端を確認できた。 平成23~24年度の研究では,高校生の社会性獲得状況を把捉でき,運動部活動所属者のほうが非所属者よりも高い社会性を有していることが明らかとなった。しかしながら,もともと高い社会性を有した者が運動部に所属しているのか,それとも,高校3年間の運動部活動実施の中で,非所属者よりも社会性が高まったのか,その要因は明らかにできていなかった。このような点から,今回の縦断的調査研究では,高校期間での変化を把捉でき,社会性獲得過程を見ることができた。 以上の追跡調査結果を受け,「ではなぜ運動部活動実施者のほうが社会性得点が有意に向上するのか」といった,その要因を明らかにするために,アンケート調査対象校の運動部活動実施者および顧問教師,学校関係者(主に学校長,副校長)にインタビュー調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では,平成26年度は,高校生約1500名を対象に,追跡調査(アンケート調査)を実施し,分析することを目的としていた。しかしながら,「平成24年度に一度アンケート調査を実施している学校であるため,今回の追跡調査実施がスムーズに実施できたこと」「高校3年生対象であったため,入試等のことも考慮し,予定よりも早い時期にアンケート調査を実施したこと」「平成27年度に実施予定だったインタビュー調査であったが,高校3年生にインタビュー調査をお願いしたいため,平成26年度中の在学中に実施する必要が出てきたこと」「学校行事を考慮すれば,2月や3月が比較的対象者(特に顧問教師)の都合がいいこと」など,さまざまな要因を考慮すると,インタビュー調査の実施は,平成26年度中に実施することが望ましいと考え,前倒し請求させていただき,実施したことが,当初の計画以上に進展している理由である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは,平成26年度2~3月に実施したインタビュー調査の文字おこし,分析作業を行う。当初の計画では,インタビュー調査を平成27年度に実施する予定であったが,多少時期が早くなった分,平成27年度は,予定よりも「学外発表」と「論文投稿」作業に時間を費やし,成果をまとめる時間を増やしていく。 具体的に,インタビュー調査の分析作業に関しては,文字おこしの後,申請書にも記載した九州大学の内田若希講師をはじめとする質的研究会のメンバーと分析作業を行う。平成26年度も2ヶ月に1回インタビュー調査に関する打ち合わせを行ってきたので,平成27年度も引き続き研究会を実施し,議論を重ねながら,分析作業を行っていく。 また,平成27年度は,調査結果を分析,まとめたものを社会学的視点から解釈していこうと考えている。質的研究会同様,大分大学の谷口勇一教授をはじめとするスポーツ社会学分野の先生方との研究打ち合わせも実施していきたい。 いずれにしても,平成26年度は,アンケート調査とインタビュー調査の両調査に重点を置いたため,十分なデータは収集できたものの,分析,解釈に至っていない。しかしながら,当初の研究計画よりも早く進んでいるので,分析後の考察に時間を注ぎ,よりよい研究成果を生み出していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画より研究が早く進んだため,前倒し請求をさせていただき,平成26年度は当初の交付決定金より200,000円を多くいただいた。さらに平成26年度実施調査を3月31日に終えたため,インタビュー調査のテープおこし作業が年度内に実施できず,そのための「人件費」が「次年度使用額」として残っている。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度4月から5月にかけて,平成26年度に実施したインタビュー調査のテープおこし作業を行うため,その際の「人件費」として使用する。平成27年度,平成28年度に関しては,平成26年度に「前倒し支払い請求」したため,当初申請時より使用額は少なくなっているが,これに関しては,当初の研究計画で平成27年度に実施する調査を平成26年度に実施したことが理由であり,問題はない。 当初の研究計画より研究が早く進んでいること以外は,研究計画どおりの内容で進んでいるため,「物品費」「旅費」「人件費・謝金」「その他」の内訳に関しては,ほぼ計画通り使用していく。
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