研究実績の概要 |
アルペンスキー滑走中の地面反力計を開発し、傷害発生の要因となりうるスキー滑走中の外力計測を主目的として研究を進めている。昨年度、つま先固定部の改良を行い横幅が165㎜から109.5㎜まで小さくなった。最終的な地面反力計は、スキー片方あたり1,904g、データ保存用タブレット、ケーブルおよびそれら運搬用のバックパックを含めた重量は5,308gとなり、厚さは40mm、幅は109.5mmとなった。20kgの重りを漸増的に20㎏ずつ、最大80㎏まで増加させた際の鉛直方向の直線性は0.99以上であり、60㎏の被験者に0~60㎏まで20㎏ずつ重りを増加させ持たせた際の直線性も0.99以上となり、両測定において測定誤差は3%以下となった。また、前後および左右方向に0~20㎏まで5㎏ずつ漸増的に負荷を増加させた際の直線性は、両方向で0.99以上を示し、測定誤差は9%以下であった。 作成した地面反力計を用いて、雪上での大回転競技滑走中の計測を、大学のスキー部に所属するアルペンスキー選手5名を対象に行った。その結果、振動のような短い時間ではあるが体重の3~4倍の負荷がターン外脚には加わっていた。実際のアルペンスキーレースでは本研究よりもさらに滑走速度が高く、さらに雪面が固い状況で行われているため、雪面からの振動もさらに大きくなることが予想される。本研究で計測された滑走中の地面反力は、これまで報告されているものよりも大きく、スキーヤーと雪面との間に働いているものであることから、短い時間であっても無視することは出来ず、振動の周波数によっては疲労の要因になることが予想される。地面反力が大きくなるに従い滑走中の膝関節の負担も大きくなる。今後、動作分析等を含めた滑走中の膝関節トルクの計測や、振動の周波数解析などが望まれる。
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